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メモリ不足でMicronとSK Hynixが時価総額1兆ドルを突破

2026年5月25日〜31日の半導体・AIインフラ関連ポッドキャスト週次まとめ。MicronとSK Hynixが時価総額1兆ドルを突破し、Dellの好決算がAIインフラの裾野の広さを示す指標となる中、論点は「需要は本物か」から「相場はそれに対して払いすぎているのか」へと移った週。

半導体・AIインフラ ポッドキャスト週次まとめ

2026年5月25日〜31日の週: メモリ不足でMicronとSK Hynixが時価総額1兆ドルを突破


🧠 今週の最大の注目点

今週の主役はメモリだ。MicronとSK Hynixはそろって時価総額1兆ドルを突破し、UBSはMU(Micron)の目標株価を535ドルから1,625ドルへと三段跳びで引き上げた。相場に登場するオペレーターやストラテジストは口をそろえて、HBM/DRAM/NANDが「少なくとも今後2年間」はAIインフラ構築における制約要因になると語った。Dellの好決算(AIサーバーの通期見通しを500億ドルから600億ドルへ上方修正、通期売上高見通しは1,670億ドル、AI最適化サーバー売上高は前年同期比+757%)は、AIインフラの需要がいかに幅広く、いかに供給制約に直面しているかを示す指標となった。強気・弱気の論争は「需要は本物か」(コンセンサスはイエス)から、「その需要に対して払いすぎているのではないか」(SOX指数は200日移動平均線を69%上回り、この25年で前例のない水準。ただし実際の利益成長はこれに追いついている)へとシフトしている。


🔑 支配的なテーマ

  • メモリのスーパーサイクル、1999年のこだまとともに。 MUとSK Hynixが時価総額1兆ドルクラブ入りし、SanDiskは年初来で約600%上昇、UBSのMU目標株価は1,625ドルに到達した。強気派(Chisholm、Cramer、Mui)は長期契約(LTA)、2027年まで売り切れの生産能力、そしてAIのボトルネックとなるHBMを根拠に挙げる。弱気派(Boockvar)はMUの株価売上高倍率(P/S)が約9倍と1999年のサイクルピーク(約8倍)に匹敵する水準であること、さらにCDWなどが示唆する二重・三重発注という先食いシグナルを指摘する。
  • AIサーバー需要の裾野の広さを示すDell。 AIサーバー売上高は161億ドル(前年同期比+757%)、バックログは拡大を続け、需要はネオクラウド、政府系、エンタープライズにまたがって広がっている。DellのCFO David KennedyはBloomberg Techで次のように語った。「学習(トレーニング)モデルから推論へと移行するにつれ、これらの推論ワークロードはまったく新しい環境、まったく新しいTAM(獲得可能市場)を生み出している」。異論を唱えるのはTruistのNicknum氏で、先食い需要と、現在の株価がヒストリカルな9倍ではなくS&P並みの倍率に達している点を指摘する。
  • メモリ不足がハードウェア全般のインフレへと波及。 Dellはメモリ、CPU、HDDのリードタイムが最長1年に及ぶと警告している。BIのWoojin Ho氏によれば、従来型サーバーのコストは前年同期比200〜300%上昇、PCも2026年下半期で前年同期比約20%上昇している。恩恵を受けるのはSMCI、HPE、ARM、そしてWFE(半導体製造装置)複合体(AMAT、LRCX、KLACはいずれも配分制)だ。
  • Anthropicとプライベートクレジットに支えられるAI設備投資スタック。 AnthropicのARR(年間経常収益)は1月の90億ドルから5月には470億〜500億ドルへと拡大し、評価額約9,650億ドルで650億ドルを調達。ApolloとBlackstoneが主導する、史上最大級となりうるプライベートクレジット案件(約360億ドル規模)は、バランスシートを持たないネオクラウド事業者のチップ・サーバー購入資金を賄うためのものだ。SpaceXとxAIはAnthropicへの計算資源レンタルにより、年間約150億ドルを得ると見込まれている。
  • NVIDIA: 圧倒的なファンダメンタルズと株価の乖離、そして中国はゼロ。 Vera RubinがDellのパイプラインを牽引しており、Goldmanは半導体をAIスタックの中で今日唯一利益を生んでいる層と呼ぶ。しかしCramer氏は言う。「まったく振るわない……頭がおかしくなりそうだ」。Boockvar氏は*「中国での市場シェアは事実上ゼロ」*であり、それは恒久的だと語る。CNBCで引用されたBen Rogers氏によれば、2027年予想利益に対するバリュエーションは10〜11倍まで圧縮されている。
  • 華為(Huawei)の「Tao Scaling Law」、非EUV経路で1.4nm相当へ。 He Tingbo氏は幾何学的スケーリングに対する「タイムスケーリング」を提唱し、2031年頃までに1.4nm相当の性能到達を目指す(TSMCは2028年に商用1.4nmを予定)。読み取るべき含意は、ASMLのEUV独占と、中国市場から締め出されたNVIDIAの立場に対する長期的な脅威だ。Ian氏(Telecoms.com)は*「真剣に受け止める傾向にある」とする一方、ある業界関係者は「いつもの華為のプロパガンダだ」*と一蹴する。

⚖️ 主要な論争

半導体はバブルなのか?

Michael Batnick氏(Compound and Friends): SOX指数は200日移動平均線を69%上回り、この25年間で類を見ない水準。MUの時価総額1,000億ドルから1兆ドルへの上昇は、2000年のCiscoやLucentを想起させる。一方Denise Chisholm氏は、集計ベースの設備投資対フリーキャッシュフロー比率は依然1倍未満であり、2000年のピーク時の3.5〜4倍と比べればまだ低いと指摘。株価はここ2年間、実際の利益成長にむしろ遅れをとっているとし、下位四分位のバリュエーションから見て今後12カ月で半導体がアウトパフォームする確率を70%と見積もる。

MUのバリュエーション: サイクルのピークか、それとも構造的な再評価か

Boockvar氏(弱気派): MUのP/Sは約9倍で1999年のサイクルピークに一致する。二重・三重発注が足元のシグナルを押し上げており、追加供給は2027〜2028年まで到来しない。Jake Silverman氏(BI、強気派): 長期契約(LTA)とAI追い風により、これは通常のサイクルではなく3〜5年間の構造的な利益成長だとする。

構造的な相対トレードとしての半導体対ソフトウェア

Adam Parker氏(Excess Returns): 「私の北極星は今も『ソフトウェアより半導体』だ」。CTOの価格交渉力の圧力に加え、AIへの投資必要性がソフトウェア企業のマージンを圧迫しており、同氏は今後5〜6四半期でソフトウェアの売上未達が出てくると見る。反対意見としては、複数年契約を背景にソフトウェアはディフェンシブだというものがある(Parker氏はこれを否定)。

半導体製造装置(セミキャップ)対メモリ

Gavin Baker氏(Parker氏が引用): セミキャップはDRAMと比較して非常に割高であり、両者が同時に正しいことはあり得ないとする。Parker氏は方向性としては同意しつつ(MUの約7倍に対しCATが約30倍というのは不釣り合いだとしつつ)、モメンタムが半導体を下支えし続けていると指摘する。

AIによる生産性向上と雇用への影響のペース

Carson Block氏(Muddy Waters): 今後3〜5年でナレッジワーカーの15%が置き換えられると予測。Matthew Weir氏(Goldman): これは10年がかりの緩やかなプロセスであり、自動化可能なのは米国のタスクの25%(職種ではなく)であり、トレンドGDPは2.4%まで上昇するとする。

NVIDIAの株価対ファンダメンタルズ

Cramer氏(事業には強気、株価の動きには弱気): NVIDIAは*「ファンダメンタルズ上、最大の勝者」でありながら、2年間パフォーマンスが振るわない、相場では「哀れで無力な巨人」*だと評する。Faber氏とQuintanilla氏は、2027年予想利益ベースで10〜11倍という水準を強気派の根拠として指摘する。

Tao Scaling Lawはイノベーションかプロパガンダか

Ian氏(Telecoms.com)はこれを真剣に受け止め、地政学的な交渉カードとしての動機を指摘する。匿名の業界関係者はこれを華為のプロパガンダだと退ける。いずれにせよ、ASMLの中国向けDUV売上高(約95億ユーロ)への影響という含意は現実的だ。

AI設備投資の持続可能性

弱気派(Brown氏が代弁): AI設備投資のバックログの半分は、株式で資金調達したOpenAIやAnthropicによるものであり、ドットコムバブル的なパターンだとする。Chisholm氏: ハイパースケーラーは設備投資を上回るフリーキャッシュフローを稼いでおり、システミックな問題ではないとする。Bradley Tusk氏: OpenAIは売上高130億ドルに対し損失90億ドル、負債残高1兆4,000億ドルを抱えており、*「個人投資家には非合理的」*だと語る。


📊 強気・弱気それぞれの論拠付きで語られた銘柄

ティッカー 方向性 情報源・発言者 論拠
DELL 強気 Woojin Ho、Mandeep Singh (Bloomberg Intelligence) AIサーバー通期見通しを500億ドルから600億ドルへ引き上げ。ネオクラウドや政府系が数十億ドル規模の取引を牽引、粗利益率も拡大中
DELL 強気 Faber、Cramer (Squawk on the Street) AI最適化サーバー売上高161億ドル、前年同期比+757%。売上高は市場予想を約100億ドル上回る。バックログも堅調
DELL 強気 David Kennedy、Dell CFO (Bloomberg Tech) 通期見通し1,670億ドル(+270億ドル)。売上高成長88%、EPS成長214%。ネオクラウド・政府系・エンタープライズにまたがる幅広い需要
DELL 弱気 Matthew Nicknum、Truist(Hold) (Closing Bell) バリュエーションはヒストリカルな9倍のPERからS&P並みの倍率に上昇。先食い需要の懸念。PC成長率は一桁台前半へ減速中
MU 強気 Jake Silverman (Bloomberg Intelligence) 長期契約(LTA)が景気循環性を低減。AIによる構造的な追い風。倍率が約10倍から15倍超へ拡大するとの見方
MU 強気 Cramer (Squawk on the Street) Susquehannaの目標株価175ドル。HBMは「ボトルネック」。「Micronは1株当たり100ドルを稼ぐようになる」。5月だけで+78%
MU 強気 Denise Chisholm (The Compound and Friends) UBSの目標株価1,625ドル(535ドルから引き上げ)。メモリは約1年分売り切れ。年初来のS&P 500寄与度で2位。時価総額順位は約1年で127位から11位へ
MU 強気 Adam Parker (Excess Returns) 来期予想利益ベースで約7倍(CATは約30倍)。多くの機関投資家がアンダーウェイト。モメンタムも強く、収録当日に時価総額1兆ドルを突破し+16%
MU 弱気 Peter Boockvar (RiskReversal Pod) P/Sは約9倍で1999年のサイクルピーク(約8倍)に匹敵。二重・三重発注が足元シグナルを押し上げ。追加供給は2027〜2028年まで来ない
NVDA 強気 Janet Mui、Matthew Weir (Bloomberg Tech) フォワードPERは20倍台でバブルではない。Goldmanは半導体を今日のAIスタックの中で唯一利益を生む層と評価
NVDA 強気 Adam Parker (Excess Returns) CUDAの参入障壁。市場加重をやや上回るウェイトを推奨。ハイパースケーラーの支出も衰えず
NVDA 弱気 Cramer (Squawk on the Street) コアの実現要因でありながら「振るわない」。株価では「哀れで無力な巨人」
NVDA 弱気 Jake Silverman (Bloomberg Intelligence) AVGO(TPU)、MRVL(Trainium)、AMD、ハイパースケーラー独自ASICからの競合
NVDA 弱気 Peter Boockvar (RiskReversal Pod) 「中国での市場シェアは事実上ゼロ」。世界第2位の経済圏を恒久的に失った
AVGO 強気 Jake Silverman (Bloomberg Intelligence) GoogleのTPU関係を通じ、NVIDIAに対して最も有利な位置にある競合
MRVL 強気 Cramer (Squawk on the Street) 「半導体の中で最も爆発的なモデル」。見通しを40億ドルから100億ドルへ引き上げ。成長率は45〜50%から約55%へ
AMD 強気 Jake Silverman (Bloomberg Intelligence) AIアクセラレータのシェア獲得が見込まれる
TSM 強気 Jake Silverman (Bloomberg Intelligence) 生産能力が制約要因。長期契約を締結済み
TSM 強気 Janet Mui (Bloomberg Tech) フォワードPERは20倍台。台湾の輸出成長率+40%を半導体が牽引
TSM 弱気 Ian (Telecoms.com Podcast) ノード世代の移行ペースが減速(3nmから2nmへの移行に3年、従来は2年ペース)。華為が2031年までに差を縮める可能性
AMAT 強気 Cramer (Squawk on the Street) 配分制。「不足はAMAT、Lam Research、KLAから始まる」
AMAT 強気 Nicholas Rossolillo (Chip Stock Investor Podcast) 積極的なM&A(ASMPTのパネルレベル成膜案件)。成膜工程で優位
LRCX 強気 Nicholas Rossolillo (Chip Stock Investor Podcast) 2026〜2027年は記録的な売上高となる見込み。AIインフラ構築の恩恵を享受
KLAC 強気 Nicholas Rossolillo (Chip Stock Investor Podcast) 最大手のメトロロジー(計測)企業。経常的なサービス・ソフトウェア収益。堅牢なセグメント
ASML 強気 Nicholas Rossolillo (Chip Stock Investor Podcast) EUVのボトルネックを支配。Fab Five市場シェア約70%
ASML 弱気 Ian (Telecoms.com Podcast) タイムスケーリングが長期的なEUV依存を低下させる可能性。対中DUV輸出規制が一段と厳格化する可能性(中国向け売上高約95億ユーロが影響を受けうる)
ONTO 強気 Nicholas Rossolillo (Chip Stock Investor Podcast) 独創的なM&A(Rigakuの27%取得)。堅牢なメトロロジー事業
ARM 強気 Faber (Squawk on the Street) 年初来+218%
QCOM 強気 Cramer (Squawk on the Street) PC買い替え需要の恩恵を享受
HPE 強気 Woojin Ho (Bloomberg Intelligence) 企業のAI導入が従来型サーバー需要を平均販売価格(ASP)上昇とともに再び活性化
HPE 強気 Matthew Nicknum、Truist(Buy) (Closing Bell) Dellに対して割安。Juniperのネットワーキング事業の顧客定着力
ANET 強気 Matthew Nicknum (Closing Bell) 粗利益率が高く、ハードウェアOEMより持続性が高い
CSCO 強気 Matthew Nicknum (Closing Bell) ネットワーキング事業はサーバーOEMより持続性の高いマージンを持つ
SMCI 強気 CNBCデスク (Closing Bell) Dellの品不足波及効果で約10%上昇
NBIS 強気 Cramer (Squawk on the Street) Leopold Aschenbrenner氏の5.6%出資が判明。ネオクラウドの恩恵銘柄
SNPS 中立 Faber (Squawk on the Street) Elliott(Jesse Cohn氏)が取締役会に加わる
INTC 強気 Denise Chisholm (The Compound and Friends) 年初来のS&P上位10位貢献銘柄の一つ
INTC 中立 Ian (Telecoms.com Podcast) 設計者兼ファウンドリという二重の役割。Intelがタイムスケーリングを検討しているかどうかが焦点
ソフトウェア (CRM/NOW) 弱気 Adam Parker (Excess Returns) CTOによる価格交渉の圧力。OPEX/CAPEX圧力。今後5〜6四半期で売上未達のリスク

🎯 今週変わったこと

相場全体の論調は、需要の妥当性検証からバリュエーション規律へとシフトした。メモリ銘柄が時価総額1兆ドルクラブ入りし、SOX指数がトレンドから歴史的な乖離を示す中、強気派(Chisholm、Parker、Silverman)でさえも今や、割安さではなく利益の持続性とアンダーウェイトのポジショニングを根拠に論じるようになっている。弱気派(Boockvar、Nicknum)の主張はより明快だ。先食い需要のシグナル、1999年のP/Sとの類似、そしてNVIDIAにとって閉ざされたままの中国市場という3点だ。

もう一つの真に新しい読み解きは構造的なものだ。華為の「タイムスケーリング」構想とAnthropicのプライベートクレジットに支えられた計算資源スタックは、いずれも同じ問いを指し示している。すなわち、EUVとバランスシートの制約が効いてくるとしたら、次の建設フェーズの資金と供給を最終的に担うのは誰なのか、という問いだ。


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