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2027年メディケア・アドバンテージ料率、懸念より上振れ IRAとMFNが薬価に圧力

2026年6月13日週のヘルスケア政策ポッドキャストブリーフィング。2027年メディケア・アドバンテージ料率は1月時点の懸念より良好な結果となったが、IRAの「ピル・ペナルティ」、最恵国待遇(MFN)価格制度、そして病院向け診療報酬の一斉見直しにより、UNH、LLY、ELVおよび病院関連銘柄への圧迫は一段と強まった。

ヘルスケア政策:薬価、IRA、マネージドケア

2026年6月13日の週:2027年メディケア・アドバンテージ料率、懸念より上振れ IRAとMFNが薬価に圧力


今週は方向性の異なる2つのストーリーがテープを支配した。マネージドケア側では、2027年メディケア・アドバンテージ(MA)の最終料率が1月の懸念で織り込まれていたよりも良い着地となり、久々の安堵材料となった。一方、薬価側では逆に締め付けが強まっている。IRAの低分子薬(スモールモレキュール)ペナルティが資本の流れを目に見えて変え始め、Most Favored Nation(MFN、最恵国)価格方式は単なる論点から計画上の前提へと移行しつつある。以下、現場のオペレーターたちが実際に語った内容を紹介する。

要点

  • MAは猶予を得たが、監視からの猶予ではない。 CMS(メディケア・メディケイド・サービスセンター)は2027年の料率を約2.5%引き上げる最終決定を下し、懸念されていたV28リスクモデルの大改定も技術的欠陥を理由に見送った。しかしOptumのアクチュアリー(保険数理士)は「コストトレンドに追いつくには十分ではない」と率直に語り、V28の再調整は2028年に先送りされたに過ぎない。
  • IRAの「錠剤ペナルティ」はもはや理論上の話ではない。 あるバイオテック企業CEOは「IRAのせいで低分子薬企業の資金調達ができなかった」とはっきり述べ、業界が錠剤(低分子薬)からバイオ医薬品へと「ほとんど瞬時に」舵を切ったと語った。
  • 病院は協調的な診療報酬リセットに直面している。 新たなメディケイドの州主導支払い(state-directed-payment)ルール、サイトニュートラル(施設間格差是正)の適用拡大、価格透明化の執行強化が同時に到来しており、CMSはメディケイド部分だけで今後10年間で7,750億ドル超の効果を見積もっている。

今週の新情報

1. 2027年MA最終料率は1月のパニックを上回った。 Radio Advisory(6月9日放送)で、Optumのアクチュアリアルサービス担当バイスプレジデントAlex Balmes氏*(オペレーター)*がその仕組みを解説した。CMSは「MA全体の払い戻しで約2.5%の増加」という着地となり、これは1月にアドバンスノーティス(事前通知)が「フラットからマイナス」となって保険株を「一日で最大10~20%」下落させたのとは対照的だ。決め手となったのはリスク調整で、提案されていたV28の変更は「根本的な問題があった」として採用されなかったが、同氏は「2028年に向けて、プランはこれが来ることを懸念すべきだ」と警告した。重要な理由:この安堵は本物だが一時的であり、2.5%という水準について同氏は「MAは給付をどう調整できるかについて厳しく制限されている」と率直に述べた。つまり会員向け給付の削減は回避されたのではなく、先送りされただけだ。

2. イーライリリー(Lilly)は直接消費者向け(DTC)肥満治療に注力、背景にはMFN。 On The Pen(6月9日放送)で、ホストのDave Knapp氏*(評論家)*は、Lillyが承認前の「拡大アクセスパスウェイ(expanded access pathway)」をretatrutideについて静かに構築しており、ADA(米国糖尿病学会)でのLilly担当者の発言から、同薬はLilly Direct経由で販売される見込みだと指摘した。同氏の価格試算はあくまで推測であり会社のガイダンスではないと断りつつ、MFN交渉を踏まえるとZepboundの現金払い価格は「18カ月以内に250ドル台まで」下落し、retatrutideはおそらく「500~800ドル」になり得ると述べた。重要な理由:現金払い/DTCチャネルが肥満治療の本当の主戦場になりつつあり、MFNは今や米国の希望小売価格に対する前提的な引力となっている。

3. 病院の診療報酬モデルが一斉に再構築されつつある。 Achieving Health(6月10日放送)で、Forvis Mazarsの診療報酬ディレクターSean Stack氏とChad Mulvaney氏*(アドバイザー)*は、3つの力を「1つの協調的なシフト」として結びつけた。メディケイドの州主導支払いルールはSDP(州主導支払い)を「メディケア相当の枠組み」で上限設定し(CMSはメディケイド変更分だけで「今後10年間で7,750億ドル超の節減」と試算)、サイトニュートラル拡大は「時間の経過とともに数千億ドル規模の支払い削減」の脅威となり、価格透明化の執行は「2026年4月から本格的に始まった」。両氏の結論:病院は「利益を生み出す場所も、利益を隠す場所も減っていく」ことになり、地方や safety-net(セーフティネット)系の医療システムが最もさらされる。両氏はまた、就労要件に関する暫定最終規則が「医療提供者の無償ケアを増やす」ことになると指摘した。

4. 商業保険の負担可能性が完全保険モデルを崩している。 Becker's Payer Issues(6月11日放送)で、Elevanceの商業健康給付担当EVP Morgan Kendrick氏*(オペレーター、在籍31年)*は、「入札の機会として舞い込んでくるものの100%が、負担可能性とシンプルさに焦点を当てている」と述べ、家族向け保険料はこの5年間で「26%上昇」した背景を語った。変化として、小規模雇用主でさえ完全保険から、バランスファンディングやMEWA(複数事業主福利厚生制度)へ移行しつつあり、同氏はこれによって「ケンタッキー州で4億ドル、オハイオ州で13億ドルの節減」があったとしている。

5. IRAの錠剤ペナルティは今や資本配分上の現実だ。 Vital Health(6月11日放送)で、バイオテック企業CEOのSteve Potts氏*(オペレーター)*は、以前は規制を抽象的なものだと思っていたが「IRAのせいで低分子薬企業の資金調達ができなくなるまでは」そうだったと語った。同氏は2025年がIRA後「低分子薬オンコロジー(腫瘍領域)にとって2番目に少ない年」だったと指摘し、低分子薬からバイオ医薬品への転換は「もうほとんど瞬時に起きた」とし、PfizerがADC(抗体薬物複合体)フランチャイズを優先してArrayを縮小した例を挙げた。同氏はEPIC Actの成立を望んでおり、これは「9[13]を合理化して13[13]にする」もので、低分子薬とバイオ医薬品の交渉猶予期間を対等にするものだ。

論点:メディケア・アドバンテージは過払いなのか、それとも本当に逼迫しているのか

今週のテープは両方の立場をしっかりと裏付けた。

過払い派。 Cignaで20年近くMAアナリティクスを率いたTimothy Boulat氏*(インサイダー、現在は政策分野)*は、The Podcast by KevinMD(6月8日放送)で、「納税者は実際、伝統的メディケアよりもMA加入者一人当たりより多く支払っている」と主張し、プランは「コーディングの積極性(coding intensity)と有利な選択(favorable selection)」を通じて収益を最適化していると述べた。同氏はリスク調整の継続的な引き締めを支持し、出来高払い(フィー・フォー・サービス)ベンチマークの完全撤廃さえ提案した。持続可能性についての同氏の見立て:MAは「2026年も再び成長」し、給付支出は「過去最高水準」にあり、「空が落ちてくる」といった見出しは「大げさすぎる」というものだ。

逼迫派。 Balmes氏(Optum)はオペレーターの立場から反論し、コロナ後の「めまぐるしい」リスクモデル変更の連続が「MA保険者への払い戻しを実際に圧迫し」「財務的な苦境を悪化させた」とし、薬局主導のコストトレンドに対して2.5%という料率は「一部の企業を廃業に追い込む」と述べた。同氏はUnitedが「今年、大きくマーケットシェアを失った」とも指摘した。両者はともに正しい可能性がある。プランはルールの範囲内で最適化を行う一方で、そのルール自体が今、本物のマージン悪化に向けて締め付けを強めているのだ。

波及効果

  • PBM(薬剤給付管理会社)/パートD: IRA後の自己負担上限は2027年に向けて「2,100ドルから2,400ドルへ」段階的に引き上げられるが、Balmes氏はこれでも薬局コストの伸びを抑えるには「おそらく不十分」だと述べた。
  • バイオシミラー/ジェネリック: Health & Veritas(6月11日放送)では、ホストら*(アカデミア)*が、いわゆる「スキニーラベリング(skinny labeling)」を支持する連邦最高裁の9対0の全会一致判決を取り上げた。これにより、薬価が「全般的に」上昇するのを抑えるジェネリック医薬品の参入経路が維持される。
  • 米国外: 同エピソードでは、Ozempicの特許が(米国ではなく)カナダ、ブラジル、中国、インドですでに切れており、ジェネリックが「5ドル」近辺になる可能性があると指摘された。これは米国と他地域との価格差を広げ、MAN(MFN)論の材料となっている。
  • メディケイド/取引所保険会社(CNC、MOH、ELV): 拡充された保険料税額控除は「2025年末で失効したばかり」であり、Balmes氏によれば、これは「ACA(オバマケア)事業がポートフォリオ全体を下支えするのにあまり寄与しないかもしれない」ことを意味する。
  • 病院(HCA、THC、UHS): SDP(州主導支払い)+サイトニュートラル+透明化という三重の打撃は、外来部門とメディケイド比率の高い医療システムに最も重くのしかかる。
  • GLP-1エクスポージャー/Optum型サービス: 雇用主は「コストを理由にこれらの薬剤に対する給付を削減し続けている」(Health & Veritas)一方、MAの薬局トレンドは依然として過熱しており、この締め付けはUNH/Optumに直結する。

今週変わったこと

  • CMSは2027年に向けて提案されていたV28リスク調整変更を採用を見送った。撤回ではなく延期である。
  • 2027年のMA料率は1月のアドバンスノーティスよりも高い水準で最終決定され、株価下落の悪化分の大半を巻き戻した。
  • メディケイドの州主導支払いルールは、Forvis Mazarsの分析によればCBO(議会予算局)の想定より広範な内容で最終決定された。