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マイクロン、史上最強のメモリーサイクルと1,500ドルの目標株価を掲げ決算へ
2026年6月20日の週のHBM・メモリー関連ニュースレター。マイクロンは今サイクル最大級の注目を集める中、6月24〜25日の決算発表に臨む。市場のコンセンサスは、これが史上最強のメモリーサイクルであるという点でほぼ一致しており、唯一の本質的な論点は価格決定力が循環的なものか構造的なものかという点にある。
HBMとメモリー・スーパーサイクル
2026年6月20日の週: マイクロン、史上最強のメモリーサイクルと1,500ドルの目標株価を掲げ決算へ
HBM & The Memory Supercycle、2026年6月20日締週
要約
- マイクロンは6月24〜25日に決算発表。今サイクル最大級の盛り上がりの中での発表となる。TD Cowenは目標株価を1,500ドルへと2倍以上に引き上げ、CEOは粗利益27億ドル超を叩き出しうる四半期を示唆し、DRAM契約価格は月初来で約15%上昇している。数字そのものは織り込み済みで、反応こそが取引の焦点だ。
- 市場のコンセンサスは、これが史上最強のメモリーサイクルであるという点で一致している。DRAM/NAND価格は50〜100%上昇し、HBMは2027年末まで「完売」の可能性があり、3社寡占体制のもとで中〜高一桁%の供給能力増強しか行われていない一方、需要は2〜3倍に達している。事業者(HPEのCEO)もアナリストも、供給の正常化は早くても2028年との見方で一致している。
- 唯一意味のある論点は循環的か構造的かという点だ。強気派は、フロア(下限)マージン付きの長期契約によってこのセクターの評価は恒久的に再評価されたと主張する。弱気派は、メモリーは「株価がピークをつけるといつも決算数字を壊す」ことを覚えている。今週の論調では誰一人として確信を持って答えていない、そしてその正直さこそがシグナルだ。
今週のニュース
1. 1,500ドルのマイクロン目標株価、そしてそれが単なる数字ではない理由。 CNBCのPower Lunch(6月15日)で、TD Cowenのシニアアナリストクリシュ・サンカー氏(セルサイド)は、目標株価を660ドルから1,500ドルへと2倍以上に引き上げた経緯を説明した。そのメカニズムは単なる価格上昇ではなく、*再評価(リレーティング)*だ。「前回決算の直前、マイクロンはほぼ4倍のPERで取引されていた。今はおそらく我々の見通しで8倍、コンセンサスで見れば10倍程度で取引されているはずだ」。彼の持続性テーゼはこうだ。「価格の安定が収益の持続性につながる局面は、これまで見たことがない。だが今日、まさにそれが見え始めているのかもしれない」。需要構成の変化にも言及する。「以前はGPUがメモリー需要をけん引していた。今はCPUがメモリー需要をけん引している」(エージェント型AI=CPU1個当たりのDRAM使用量増加)。この見立てが数字を動かすのは、メモリーを「PBR(株価純資産倍率)で評価される景気循環株」から「PER(株価収益率)で評価される複利成長株」へと再定義するからだ。
2. 買い手が本音を明かす。 Squawk on the Street(6月17日)で、実際の事業者でありメモリーの買い手でもあるHPEのCEO、アントニオ・ネリ氏は、価格急騰が需要を冷やしているかと問われ、こう答えた。「まったくそんなことはない……むしろ需要は加速している」。時期については「2027年には多少の改善が見られるだろうが、それは歩留まり改善やパッケージング戦略によるものだ……本当の意味でのウエハー生産能力の立ち上がりは2028年のどこかまで来ない……したがって、これはかなり長期間、我々と共にあり続けることになる」。顧客が「いくら払っても足りない」と言っているなら、ストラテジストの言葉よりもその声を信じるべきだ。
3. スーパーサイクルの物理学、解説編。 TechSurge: Deep Tech Podcast(6月16日、アナリスト/評論家)は、今週最良の構造分析を展開した。その枠組みはこうだ。「これはおそらく現在、史上最強のメモリーサイクルだ……18か月前は、おそらくITバブル崩壊以来最悪のメモリーサイクルの真っ只中にいたことを忘れてはならない」。HBMの決め手はトレード比率にある。「標準DRAMに対し、1ギガバイトの高帯域幅メモリーを作るには約4倍ものシリコン面積が必要になる」ため、ウエハー生産能力を追加してもビット数はさほど増えない。2月の業界売上高は「前年同月比80%程度の増加……そのほぼすべてがメモリー価格の上昇によるものだ」。これこそが強気シナリオ全体の土台となる、ビット供給論だ。
4. アップルが費用負担への協力を申し出る。 Hedgeyeの「Protect the Pile」(6月19日、バイサイド・リサーチ)では、実践的な情報として「DRAM価格は月初来で約15%上昇している」との指摘があった。さらに新たな展開として、アップルが「自社のバランスシートを活用し、DRAMやNANDを中心とした供給課題への資金拠出を一部支援する」意向を示している。言い換えれば、大口顧客が供給に共同出資すれば「今回のサイクルにおける設備投資負担は……限界的にはそれほど急峻にはならない」可能性がある。サプライヤー側のフリーキャッシュフロー計算は改善するが、Hedgeyeの警告の方が重く響く。メモリー銘柄は「株価がピークをつけると必ず決算数字を壊す」からだ。
5. 定量化された寡占構造。 Bloomberg Daybreak(6月19日)で、ブルームバーグ・インテリジェンスのマンディープ・シン氏が明快に整理した。メモリーは「マイクロン、SKハイニックス、サムスンによる寡占状態」であり、「中〜高一桁%程度の生産能力拡大」にとどまる一方、需要は「2倍、3倍」に伸びており、マイクロンは「2026年に前年比200%超の成長を計上する」見通しだという。この需給ギャップの解放弁として彼が挙げるのは、より大規模な設備投資、あるいは「中国発の新たなメモリープレーヤーの登場」だ。
論点
強気派を最大限に立論する(構造的な供給不足): サプライヤーは3社のみ、設備投資は規律的(中〜一桁%増)、そしてHBMのトレード比率は使用可能なビット1つ当たりウエハー面積の約4倍分を消費する。需要は消費者向けではなくAI由来のビット需要であり、フロア(下限)売上総利益率を伴う長期契約のもとで確保されている。これはサンカー氏が今回の再評価の要因として挙げる、サンディスクのLTA(長期契約)構造そのものだ。HPEのCEOは、市場は「構造的に変化した……かつては消費者需要が牽引していたが、今は[AI]需要が牽引している」と語る。Futurum Equities(6月18日)では、さらに大胆な見方も示された。価格決定力が3年続けば「株価は2,000ドルに達してもおかしくない」とし、コンセンサスが想定する2027年ピーク利益という前提は「的外れだ」とする。
弱気派を最大限に立論する(宗教まがいの景気循環): 今週最も鋭い論考は、(元セルサイドで現在は投資家の)イムラン・カーン氏がRiskReversal Pod(6月19日)で示したものだ。「これは循環的なものではなく、本当に構造的な成長だと思う……ただ、循環的なのか構造的なのか、明確な答えは持ち合わせていないとも思う」。メモリーは常に、PBR(1〜3倍)で評価されるブーム・アンド・バストの業界だった。2029〜30年の成長が二桁のプラスであれば「株はとても割安」だが、これまで常にそうであったように利益がマイナスに転じれば「かなり割高だ」という。彼の傷跡として、2020年には「Zoomはグーグルの時価総額の20%を占めていた。今では1%にも満たない」という例を挙げる。
正直な見立てはこうだ。強気派も弱気派も同じ事実、つまり価格決定力の持続性について議論しているのであり、どちらもまだそれを証明できていない。6月24日の決算では決着はつかない。決着をつけるのは2027年の生産能力増強だ。
注目銘柄
マイクロン(MU): 強気材料: 「粗利益率81%……記録的なフリーキャッシュフロー創出力……米国拠点で唯一の先端メモリーメーカー」、それでいてPERはなお約8倍で、Futurumによれば対エヌビディア比でもPEGレシオは低い。弱気材料: Daily Stock Picks(6月15日)によれば、「最良の企業を……最も熱狂的なタイミングで買おうとしている。CEOは自社株を売却しており……株価は200日移動平均線から157%も乖離している。歴史が示すのは、マイクロンが驚異的な決算を叩き出しても、株価はしばしば売られるということだ」。次のカタリスト: 6月24〜25日の決算発表。EPSのビートよりも設備投資ガイダンスに注目(Hedgeye「あれが最大の注目数字のようなものだ」)。RiskReversalの司会者は、今年のEPSを約88ドルと引き合いに出したが、2023年には4.50ドルの赤字だった。
エヌビディア(NVDA): 強気材料: メモリーコストの価格転嫁は業績を圧迫していない。カーン氏は「メモリー価格の上昇でマージンが大きく打撃を受けると誰もが懸念していたが、実際にはほとんど見られていない」と指摘し、長期供給契約のおかげだとする。弱気材料: 過熱した市場環境の中、今週250億ドルの社債を発行した(2021年以来初の投資適格債発行)。注目点: GPUではなくHBMの割り当てが、ボトルネック要因になるかどうか。
AMD: 強気材料: HPEがAMD Heliosラックスタック(Juniper QFXファブリック搭載)を採用する見込みで、これは実質的な大型エンタープライズ案件の獲得となる。弱気材料: Futurumは、「AMDがエヌビディアに奪われるシェアは(CPU/PC分野において)まだ株価に織り込まれていない」と指摘する。注目点: Heliosの導入実績。
マイクロソフト(MSFT): 繰り返し「マグニフィセント・セブンのお荷物」と呼ばれ、年初来で約15%下落、フォワードPERは20倍を下回る。強気材料: AzureとCopilotによる再評価の余地。弱気材料: メモリーコスト上昇の負担側にあり、自社開発チップは「数年遅れている」。注目点: Copilot収益の変曲点。
SKハイニックス(000660 KS)/サムスン(005930 KS): 今週の論調ではインサイダーによるコメントはなし。両社ともHBM寡占の残り2社としてのみ言及されている(Lambdaの創業者がHBMの供給不足ベンダーとしてサムスンとハイニックスを名指し)。注目点: HBM3E/HBM4の認証やKGS歩留まりに関する最新情報。今週は目立って言及がなかった。
サンディスク(SNDK): 今週は社名としては取り上げられなかったが、そのフロア(下限)マージン付きLTA構造は、アナリストが現在メモリー市場の耐久性再評価の根拠として挙げているひな型そのものだ。
波及効果
- メモリー関連装置(Advantest、BESI、Camtek、KLA、Lam、AMAT): 薄い週だった。テスト・検査・ボンディング関連について社名を挙げて掘り下げたエピソードはなし。TechSurgeが唯一言及したのは、WFE(半導体前工程装置)銘柄は「メモリー株のように10倍に上がってはいない」(メモリーの上昇は価格主導であり数量主導ではない)という点、そして2026年はファブやクリーンルームの建設が装置出荷に先行する必要があるため「制約の多い年」になり、装置分野の恩恵は2027年にずれ込む。
- パッケージング/CoWoS/ハイブリッドボンディング(BESI、TSMC): 今週の論調では実質的に取り上げられなかった。見落としというより、明確なギャップとして記録しておく。
- GPUメーカー(NVDA、AMD): メモリーはエヌビディアの部品コストの「大きな割合」を占める(Lambdaのスティーブン・バラバン氏、The MAD Podcast、6月18日)。HBMコストの上昇はGPUの粗利益率を左右する注目点だが、今のところ長期契約(LTA)によって吸収されている。
- PC/スマートフォンOEM: まさに矢面に立たされている。アップルは端末価格を引き上げ、部材供給への共同出資も進めている。DRAM/NANDの上昇は、いまや消費者向けハードウェアの利益率と価格設定の物語となっている。
先週からの変化
本号は創刊号であり、比較対象となる前号は存在しない。次週に向けての論点はこうだ。(1)マイクロンの6月24〜25日の設備投資ガイダンスと、決算発表後の反応が四半期末のフローにどう波及するか、(2)HBM4/HBM3Eの初となる確かな認証または歩留まりデータの有無、(3)装置関連銘柄がメモリー相場の物色に乗り始めるかどうか。
ギャップ(今週、正直に言って欠けていた情報)
- HBM3E/HBM4の認証、KGS、歩留まりの具体的な情報なし: 強気シナリオの核となる技術的マイルストーンについては、まったく言及がなかった。
- 装置やパッケージングの深掘りなし: Advantest/BESI/Camtek/KLA/CoWoS/ハイブリッドボンディングは、ほとんど表面化しなかった。
- SKハイニックスやサムスンのインサイダーコメントなし: 今週の論調では、マイクロンが唯一のメモリー・プロキシとなっている。
- NANDのスポット価格の確かな数値なし: 「DRAM/NANDは50〜100%上昇」という方向性の言及のみ。
- 中国(CXMT/YMTC) は定性的な供給リスクの脇道として登場したのみで、新たな具体的データは示されなかった。