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米EV税額控除終了後に販売縮小、欧州で中国ブランドがシェア10%に迫る、モービルアイはロボタクシー事業者へ

2026年6月22日週(対象期間:6月15日〜22日)の自動車トランジション・ニュースレター。米国では税額控除終了後のEV市場が縮小しているが、事業者はこれを「後退」ではなく「手頃な価格帯への転換」と位置づけている。欧州では中国ブランドのシェアが10%に迫り、モービルアイは自らロボタクシー事業者となることでこの分野の構図を塗り替えた。

The Auto Disruption

2026年6月22日週:米EV税額控除終了後に販売が縮小、欧州で中国ブランドがシェア10%に迫る、モービルアイはロボタクシー事業者へ


週次号。2026年6月22日(月)。対象期間:6月15日〜22日。

事業者や投資家がポッドキャストの現場で実際に何を語っているか、自動車トランジションの実像を週次で追う。

この週のテープを一言で

3つの会話が呼応した。米国の税額控除終了後のEV市場は縮小しているが、現場に最も近い人々はこれを**「後退」ではなく「手頃な価格帯への転換(pivot)」**と呼び、戦いの舞台はバッテリーコストへと移った。欧州では扉が開いており、中国ブランドはシェア10%に迫り上昇を続ける中、最も鋭い対抗策は西側OEM(ステランティス)が中国ブランド(リープモーター)を自らの価格競争力の武器として使うことだ。そして自動運転分野では、モービルアイが自らロボタクシー事業者に「なる」という驚きの一手が、業界全体の争点を「誰がそれを担う余力を持つか」という一点に絞り込んだ。


1) EV需要とマージン:「後退ではなく転換」

需要が明確に軟化していることは疑いなく、今週は識者やジャーナリストがそのデータを取り上げた。Consumerpedia(6月18日)で自動車ジャーナリストのPaul Eisensteinは、連邦EV税額控除が廃止されて以降、EV販売はCox Automotiveが言うところの「著しい市場収縮」に見舞われており、新車EVの平均取引価格は約55,000ドルで、全車種平均の約47,000ドルを上回っていると述べた(Cox社データ、発言者引用、未検証)。さらに「事実上すべての自動車メーカーがEVプログラムを縮小している」と付け加え、ホンダが「EVプログラムからの後退が主因」で創業以来初の年間赤字を計上した例を挙げた。

より的確な整理を示したのは、Automotive News記者のLindsay VanHulleで、The EVs for Everyone Podcast(6月18日)で「これは後退ではなく、転換だ」と語った。彼女の見立てでは、マージン競争はいまやバッテリーコスト競争に姿を変えており、「バッテリーのコストを下げられれば、それは自動車メーカーの収益性に本当に効いてくる」として、GMとフォードのリチウムマンガンリッチ(LMR)系化学組成や、フォードが掲げる目標3万ドルのミッドサイズEVピックアップを、手頃な価格帯実現の道標として挙げた。

最も新しい「事業者側」のデータに近かったのは、あるサプライヤー幹部の発言だった。Factorial EnergyのCEO、Siyu HuangはAutomotive News Daily Drive(6月15日)で、自社の全固体電池セルがリチウムイオン電池に対し「最大80%高い」エネルギー密度を実現していると述べた(Bサンプルで375〜390 Wh/kg、メルセデスおよびステランティスに出荷済み)。メルセデスのデモ車両は1,205kmの走行実績があるとしたが、量産化の時期については明言しなかった(未検証)。Shift(6月14日、対象期間の1日前)では、彼女はこの二極化を端的に「米国ではEVの勢いが鈍化しているが、世界全体では上向いている」と表現した。

一つ出典上の留意点を挙げておく。今週の目玉「事業者」項目、フォードのJim FarleyとSherry HouseがKilowatt(6月15日公開)でケンタッキー工場向けUniversal EVプラットフォーム(2027年稼働)と2029年のModel E損益分岐目標を改めて確認した件は、実は4月に収録された2026年第1四半期決算コールの再放送であり、新しいコメントではない。別件では、Crain's紙(6月17日、Bloomberg引用)がリヴィアンがR2発売を控える中「需要の鈍さ」を背景に約300人の人員削減を行っていると報じた。


2) 中国の輸出と関税:欧州が受け皿になっている

今週最も強力だった一本は、欧州をクレジットの視点から捉えたエピソードだった。Know More. Risk Better.(6月18日)であるアナリストは、日本の対米進出(1970〜2008年)になぞらえた「門前の蛮族(Barbarians at the Gates)」的な比較を展開し、中国の欧州浸透は「それよりもさらに速い」と主張した。数字(発言者による主張、未検証)としては、中国ブランドは欧州市場の約10%を占め、2024年の3%から上昇。BMWの中国での販売台数は横ばい見通しに対し「ほぼ20%減」だという。示唆に富むのはそのメカニズムで、中国系OEMは「Amazonモデル…今日の利益は気にせず、とにかくシェアを取りに来る」を実践しており、現地生産の拠点として選ぶのはドイツ・フランス(時給約45ユーロ)ではなく東欧(ハンガリー、時給約15ユーロ)だという。EUの補助金対象要件としてローカルコンテンツ比率70%という基準が検討されていると報じられている(未検証)。

背景として、Ning Li教授はCleaning Up(6月17日)で、中国のEV輸出は2026年3月に「倍以上」に増えた(未検証)と述べ、その背景には国内の供給過剰があるとした。「生産能力はまだそこにある。だから誰かが必要とすれば、中国は供給できる」。Michael PettisはTop Traders Unplugged(6月17日)で、自動車業界を名指しはしなかったものの構造的な理由を語った。中国は「製造業を拡大し続けなければならない成長モデルに縛られている」として、米国が再工業化を進める中、欧州がその余剰生産の受け皿になっていると指摘した。

今号で最も新鮮な「事業者側」の声はここにある。ステランティスが49%を出資するリープモーター(Leap Motor)の英国拠点幹部は、Everything Electric(6月22日)で、ステランティスとの提携により、単独参入する中国ブランドには持ち得ない「ブランドへの信頼」が得られると述べた。T03は補助金込みで14,495ポンドとなり英国最安のEVとなっており、年末までにラインアップは「市場の90%超」をカバーする見込みで、さらにステランティスは2件目となる未公表の中国ブランドとの提携を進めているという。ここに西側の対抗策が一つのデータ点として表れている。関税で締め出すのではなく、コスト構造そのものを取り込むというやり方だ。

(対象期間の直前、いずれも6月12日:BYDの急速充電網の展開ペースは月間約1GWで、テスラの月間約400MWを上回るとElectrekが報じ、ブリュッセルのA&E Congressでは中国ブランドがオペル・フォード・フォルクスワーゲンより安値をつけているとAutomotive News Daily Driveが伝えており、参考情報として付記する。)


3) ロボタクシー:資本力こそが参入障壁、モービルアイは自社のモデルを賭けに出た

冒頭で明記しておく:今週、事業者本人の声は一つも上がらなかった。 Waymo、テスラ、Zoox、百度(Baidu)の内部関係者の発言はテープになく、以下はすべて識者・アナリストによる解釈である。

今週を象徴する項目は、事業運営そのものではなく戦略に関するものだった。The Road to Autonomy(6月18日)でRob Grant(元Cruise、元Aurora)は、モービルアイが6月16日に発表した2027年に自社ロボタクシーサービスを開始する計画(当初約100台、5年でおよそ17,000台まで拡大)を分析した。彼の評価は「構造的に時期尚早」というもので、6月中旬時点で対象都市、許認可、拠点となる施設のリースいずれも未公表だと指摘。この動きは、モービルアイを「資本負担の軽いティアワン・サプライヤー」から「垂直統合型の事業者」へと転換させるものだという。要点は資本の規模で、彼はアルファベットが現在のWaymoを築くまでに投じた金額を「300億ドル超」(未検証)、事業者一社がフルスケールのL4フリートを持つには「数億ドルから数十億ドル」規模の資金が必要だと見積もる。ロボタクシー分野の参入障壁は、結局のところバランスシートだ。

展開状況について、Kilowatt(6月18日)のホストは、ギガファクトリー・テキサス外に100台超のCybercabが待機し、ダラスにも約50台が確認されたと報告した(ユーザー撮影写真が出典、未検証)。一方でアリゾナは、2月のテスラのイベントで彼に対し「間もなく」と説明されていたにもかかわらず、依然として一般向けサービスは開始されていない。彼が示すより明快な経済性の比較では、アリゾナでのWaymoの短距離乗車は約9〜11ドルで、「UberやLyftよりずっと安い」という。6月13日放送分(対象期間外、参考情報として付記)によると、テスラはクラーク郡で最大5,000台分の許認可を申請している一方、オースティンの実働フリートは約59台にとどまる。またWaymoはアリゾナで5,500エーカーの試験場を2億2,000万ドルで取得。中国のWeRideとPony.aiは欧州でのローンチを含め「ニュースの新しさで先行しつつある」という。


ポジショニングへの示唆

  1. 見出しではなくコスト曲線を押さえる。 米国での需要縮小は事実だが、事業者・報道関係者ともに、次の局面を左右するのはバッテリーコスト、LMR系化学組成、3万ドルプラットフォーム、そして(より長期では)全固体電池だという点で一致している。手頃な価格帯こそがマージンのテーゼだ。
  2. 欧州は中国の緩衝材になっている。 シェアは約10%に達し上昇中で、プレミアムOEMは中国市場という利益の支えを失いつつある(BMWの台数は-20%)。現地生産は低賃金の東欧へとシフトしている。信用リスクを負うのは中国の新規参入者ではなく、欧州の既存OEMの側だ。
  3. リープモーター/ステランティス型のモデルに注目。 信頼される西側の傘の下で中国のコスト構造を取り込むやり方は、関税よりも持続的な効果を持つ可能性がある。ステランティスは2件目となる同様の提携が進行中だとしている。
  4. ロボタクシーはいまや資本力の問題になった。 モービルアイの垂直統合への転換は、自社のOEM本業に対する実行リスクを高める。焦点は誰が一番良いデモを見せるかではなく、誰が数十億ドル規模のフリートを賄えるかにある。Cybercabの待機車両は目に見える一方、アリゾナでの商用サービスはまだ姿を見せていない。

出典についての注記:今週のテープは識者・記者の発言が中心だった。新鮮な「事業者側」の声として得られたのは、バッテリーサプライヤーCEO(Factorial)とリープモーター英国拠点幹部の2件のみで、フォードの「決算」項目は4月の決算コールが6月15日に再放送されたものである。本稿は投資助言ではない。発言者の主張は、確認されたデータではなく単なる主張である場合、未検証として明記している。次号は6月29日(月)。