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マイクロソフトがCopilotへのDeepSeek採用を検討、Micron決算を前にChevronと大型ガス契約を締結

2026年6月23日週のAI設備投資ニュースレター。弱気派の論拠についに需要側のメカニズムが加わった(マイクロソフトがCopilot内でDeepSeek R4の採用を検討していると報じられた)。一方で「最初に削減する」と目されていた同社は、20年・2.67GW規模のChevronとのガス契約に署名した。水曜日に発表されるMicronの決算が唯一注目すべき数字だ。

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2026年6月23日の週: マイクロソフト、Copilotへの DeepSeek採用を検討し、Micron決算を前にChevronとガス契約を締結


発行日: 2026年6月23日(火)


TL;DR

  • 弱気派の論拠に、需要側の引き金となる「中国」が加わった。 RiskReversalで、Danny MosesとCNBCのDeirdre Bosaは、マイクロソフトがCopilot内部でDeepSeek R4の採用を検討していると報じられている点を指摘した。「誰が設備投資を削減するのか」という問いに、具体的な需要面の亀裂が結びついたのはこれが初めてだ。安価な中国製オープンソースモデルが米国のハイパースケーラーのスタックに入り込むことこそ、弱気派に欠けていたメカニズムである。(RiskReversal Pod, 6月22日)
  • 今週唯一注目すべき決算は、水曜日引け後発表のMicronだ。 株価は約850%上昇、予想利益成長率は約100%で、株価収益倍率は約18倍、「この銘柄がこれまで取引されてきた倍率のおそらく2倍」(Guy Adami)。二重・三重発注のリスクも抱える。完売状態のシクリカル銘柄が単に「予想通り」で着地すれば、材料出尽くしで売られることになる。(RiskReversal Pod, 6月22日)
  • それでも、真っ先に削減すると目されていた企業が米国史上最大級の電力契約に署名した。 マイクロソフトは、テキサス州ペコスにおける2.67GW規模のビハインド・ザ・メーター(自家消費型)ガス発電所について、Chevronと20年契約を締結した。「今後2年間でAIデータセンターの容量を倍増させる」ためだという。恩恵を受けるのはGE Vernova(GEV)とCaterpillar(CAT)だ。(Motley Fool Hidden Gems, 6月22日)

新たな動き

動きの鈍い週で、専門アナリストの発言もなく、唯一の事業会社側の声は欧州電力会社のCEOだった。しかし2つの潮流が動き、それらは同じ銘柄、マイクロソフトを巡って正反対の方向に引っ張っている。

1. 設備投資削減を巡る問いに、需要側のメカニズムが加わった。それも中国発だ。 RiskReversal Pod, 6月22日、Danny Moses(ポートフォリオマネージャー)、Guy Adami(Fast Money)、Deirdre Bosa(CNBC)。事業会社側ではなく、ジャーナリスト/PMのコメント。 先週の弱気派の論拠はバランスシート絡み(Chanos氏の指摘するROIC、FCFの幻影)だった。今週はプロダクトの話に転じた。マイクロソフトは約130億ドルの投資を経てOpenAIの約26%を保有しているが、Copilotの採用は期待外れで、OpenAI専属からAnthropicへ、そして「今度はこれが本命だが、DeepSeek R4に向かおうとしている」という中国製オープンソースモデルの話に移った。Bosa氏の決め台詞は「DeepSeek V4はHuaweiのチップで最も効率が良い」というものだ。十分に良いモデルが勝ち、しかもNvidia以外のシリコンで最も効率よく動くとなれば、それはプレミアム・コンピュートの受注残に向けられた需要面の亀裂となる。

「その波及効果は甚大だ。まず半導体で表面化し、それがSamsungやSK Hynixに波及していく……そうなると本当に問題になる。」(Danny Moses)

2. Micronが二択の分岐点であり、セットアップは張り詰めている。 同じエピソードより。Guy Adami曰く、Micronは約850%上昇し、利益成長率は約100%が見込まれている。「4年前には1株当たり4.50ドルの赤字だった」企業が、いまや約100ドルの利益を上げるとされ、株価収益倍率は約18倍、「この銘柄がおそらくこれまで取引されてきた倍率の2倍」だという。その兆候として、3月の「とんでもない好決算」の四半期ですら、その後6~7営業日にわたって売られたことを挙げる。「予想通りの着地でガイダンスを引き下げたら、一体何が起きるか想像できるか?」その背後には「二重・三重発注……はおそらく市場を驚かせることになるだろう」という懸念がある。決算発表は6月24日(水)引け後。注目すべきはヘッドラインの数字ではなくガイダンスだ。

3. マイクロソフトはひるむことなく、全力で建設を進めている。 Motley Fool Hidden Gems, 6月22日。弱気派が「真っ先に削減する」とレッテルを貼ったまさに同じ日に、マイクロソフトはテキサス州ペコスにおける2.67GW規模のオフグリッド(系統非連系)ガス発電所について、Chevronと20年契約を締結した。敷地面積は約2,000エーカーで、標準的な100MWデータセンターの約30倍に相当し、「米国史上、開示されている中で最大級の、電力とデータセンターを併設する独立発電開発案件の一つ」であり、「今後2年間でAIデータセンターの容量を倍増させる」ためのものだ。系統接続の待機列が「4~7年」に及ぶため、ビハインド・ザ・メーター方式を選んだ。AlphabetとAmazonも、それぞれ数GW規模のオフグリッド・ガス発電キャンパスの許可申請を行っている。現在開発中の容量のうち約4分の1が独立電源を計画している。20年物のガス供給契約に署名する企業が、削減目前ということはあり得ない。

4. 売り手側(セルサイド)の声が、メモリーサイクルに時計の針を入れた。 The Morning Filter, 6月22日、Morningstarのアナリスト。価格は「天井知らず」で、需要も「少なくとも2028年までは固定化されている」ように見えるが、これは「特に力強く、特に持続性のあるアップサイクルではあるが、それでもサイクルであることに変わりはない」という。カタリストは「6社のメモリーメーカーが……2027年後半から2028年にかけて、かなりの量の新規供給を作り込んでいる」点だ。先週のZlatev氏による「今後何年も反転はない」という強気論に対し、論点は今や反転するかどうかではなく、2027~28年のいつ反転するかに移っている。

論点の対立

強気派の最強論拠: 建設は加速しており、経営陣は20年契約という形で意思表示をしている。 削減が目前に迫っているなら、20年・2.67GWのガス供給契約に署名したり、数GW規模のオフグリッド・キャンパスの許可申請を行ったりはしない。需要は「少なくとも2028年までは固定化されている」。(Motley Fool Hidden Gems, 6月22日; The Morning Filter, 6月22日)

弱気派の最強論拠: 相関性が高く、モメンタムで値付けされており、今や中国発の需要ショックに晒されている。 Moses氏の核心的な不満は価格発見メカニズムにある。「すでに上昇している」銘柄が、本来織り込まれているべきニュースで「さらに1,500億ドルの時価総額を積み増す」。「すべてが相関している……材料が一つ、それだけで全銘柄が下落に転じかねない」という。これに二重・三重発注のリスクと、設備投資そのものへの世界GDP依存が加わる。「設備投資が落ち込めば、大打撃を受ける経済圏が数多く出てくるだろう」。(RiskReversal Pod, 6月22日)

注視すべき売りシグナル: マイクロソフトによるDeepSeek/Copilot採用の確定、完売状態のMicronが水曜日に単なる「予想通り」で着地すること、「需要に見合わせる」といった発言や2年物の設備投資削減、2027年後半~2028年に向けたメモリー供給増強の確定化。


注目銘柄

NVDA。 強気: 依然として「チップが生み出すものに強気」。オフグリッド建設の拡大は、コンピュートの需要が減るどころか増えることを意味する。弱気: このセクター全体が相関性高くモメンタムで値付けされており、DeepSeek/Huaweiの論点はプレミアムGPU需要を直接狙い撃ちする。次の材料: Rubinの立ち上がり、第2四半期決算。(RiskReversal Pod, 6月22日)

AVGO。 強気: 「AI演算チップ分野の純粋プレイ企業として第2位」(カスタムXPU)、Morningstarのフェアバリューは650ドル、ファンダメンタルズは「2027~2028年に向けて加速している」。弱気: 6月の下落は削減ではなく、「2027年ガイダンスの引き上げに失敗した」ことが原因。次の材料: カスタムシリコン関連の決算、2027年ガイダンス引き上げの有無。(The Morning Filter, 6月22日)

AMD。 材料は静か、MI450X/Heliosに関する新情報なし。次の材料: 2026年7月開催のAMD Advancing AI Day。

MSFT。 強気: 2年でAI容量を倍増させるため、20年・2.67GWのChevronガス契約に署名、建設への「降伏」とも言える動き(Motley Fool Hidden Gems, 6月22日)。弱気: 需要規律を示す最も明確なシグナルとして、Copilotの採用が伸び悩んでいること、自社エンジニアへのトークン制限、DeepSeek R4への傾斜が報じられていること(RiskReversal Pod, 6月22日)。次の材料: 7月の決算発表におけるFY26第4四半期の設備投資コメント。

GOOGL。 強気: 自社の数GW規模オフグリッド・ガス発電キャンパスの許可申請を進めている、実名の挙がったハイパースケーラー系PPA顧客。弱気: 先週指摘された、株式報酬控除後FCFの幻影と株式発行ペースの問題は依然として残る。次の材料: 7月の設備投資ガイダンス。(Motley Fool Hidden Gems, 6月22日; Redefining Energy, 6月22日)

AMZN。 強気: こちらもオフグリッド・ガス発電キャンパスの許可申請中、実名の挙がったEngieのPPA顧客(Redefining Energy, 6月22日)。弱気: 約330億ドル規模のAnthropicとの株式対コンピュートの循環取引という構図は変わらず。次の材料: 7月決算。

META。 強気: 実名の挙がったEngieのPPA顧客で、ルイジアナ州の「Hyperion」拠点は複数のガス発電所群に支えられている(Redefining Energy, 6月22日; Motley Fool Hidden Gems, 6月22日)。弱気: グループ内で最悪のFCF歪み、自社株買いは停止中。次の材料: 7月決算。

波及効果(リードスルー)

  • 電力/熱源(GEV、CAT)、今週最も実行可能性の高いトレード。 Chevron/Microsoftの2.67GW規模Pecos発電所、Alphabet/Amazonのオフグリッド許可申請、Homer CityからEQTへの4.4GW建設、これらすべてがガスタービンを指し示している。「電力供給の多くはGE Vernova製の大型ガスタービンによって賄われることになる」とされ、Caterpillar傘下のSolar Turbines部門も重要な供給能力を担う。新規容量の約4分の1が、4~7年に及ぶ系統接続待機を避けるためオフグリッドに向かう中、タービンメーカーがボトルネックを握っている。(Motley Fool Hidden Gems, 6月22日)
  • メモリー/HBM(水曜日を控えたMU): ヘッドラインの数字ではなく、粗利益率のガイダンスに注目せよ。株価は約850%上昇し倍率は約18倍(過去平均の2倍)、需給は完売状態だが、サイクルには時計の針(2027年後半~2028年の新規供給)が入っており、二重・三重発注のリスクもある。相関性の高い巻き戻しが起きれば、まずSamsungとSK Hynixが直撃を受ける。(RiskReversal Pod, 6月22日; The Morning Filter, 6月22日)
  • ネットワーキング/光通信: Morningstarのアナリストは、Arista(ANET、フェアバリュー190ドル)をネットワーキング分野でNvidiaと「首位を争う」存在であり、銅線から光ファイバーへの移行にも「完全に中立的」だと評価。Amphenol(APH、フェアバリュー190ドル)についても、同じ光通信懸念で不当に売られている接続ソリューション銘柄だと位置付けた。(The Morning Filter, 6月22日)
  • 電力会社/律速要因としての電力: 米国銘柄については静か。EngieのCatherine McGregor CEOは昨年4.8GW分のPPAに署名(欧州首位)、顧客にはApple、Meta、Googleが含まれる。同社は現在、ハイパースケーラー各社に「電力・土地・エネルギーマネジメント・蓄電」をパッケージ化して販売し、市場投入までの時間を圧縮している。ボトルネックがチップではなく電力であることを裏付ける動きだ。(Redefining Energy, 6月22日)

前号からの変化

前号(6月22日、「Chanos氏、狙うのはチップではなく大家(landlord)側の空売り」)はバランスシート絡みの弱気材料が中心の週で、Chanos氏によるネオクラウドのROIC批判、FCFの幻影、そしてVisser氏がマイクロソフトを最も早く削減しそうな企業だと名指ししていた。この1日で以下が変化した。

  • マイクロソフト削減説に具体的なメカニズムが加わった。 Visser氏の言う「Nadella氏のコモディティ化志向」が、マイクロソフトがCopilotでDeepSeek R4の採用を検討しているという具体的な報道に変わった。弱気派の論点は「支払い能力があるか」から「需要は本当に現れるか」へと移り、しかもHuawei最適化・中国発という新たな要素が加わった。
  • 一方でマイクロソフトは逆方向にも動いた。 容量倍増を目指す20年・2.67GWのChevronガス契約だ。「真っ先に削減する」とされていた企業が、電力面では最も積極的な建設主体になっている。この緊張関係こそが今のトレードだ。
  • Micronの決算は「水曜日」から明日に迫った。 6月24日引け後、約850%の上昇と約18倍の倍率、そして発注リスクを抱えたままの発表となる。
  • AVGOの6月の下落について、説明が見直された。 「Googleの内製化」懸念ではなく、2027年ガイダンスの引き上げに失敗したこと(削減ではない)が原因とされ、Morningstarのフェアバリューは650ドル、ファンダメンタルズは「加速している」とされる。
  • メモリーを巡る議論は絞り込まれた。 Zlatev氏の「今後何年も反転はない」という見方に、セルサイドの「サイクルには終わりがあり、2027年後半~2028年に新規供給が来る」という見方が対峙している。争点はもはや方向性ではなくタイミングだ。

今回のサイクルでは、ERCOT/SB6の7月15日の律速期限について新たな情報はない。その発表はまだ先だ。