Newsletter · · Ashutosh Agarwal

マイクロン、粗利益率84.9%と1000億ドルの受注残でメモリー・スーパーサイクルを裏付け

HBM and memory supercycle newsletter for the week ending June 27, 2026. Micron's FY-Q3 print landed at $41.5B revenue and 84.9% gross margin with $100B in contracted revenue, CEO Sanjay Mehrotra said he has no line of sight to supply catching demand before 2028, Apple raised hardware prices, and SK Hynix set a July 10 $29B US ADR listing.

HBM & メモリー・スーパーサイクル

2026年6月27日の週: マイクロン、粗利益率84.9%と1000億ドルの受注残でメモリー・スーパーサイクルを裏付け


HBM and The Memory Supercycle, week ending June 27, 2026

TL;DR

  • マイクロンのFY-Q3決算はモデルを破壊した。 売上高は市場予想の約350億ドルに対し約415億ドル、粗利益率は84.9%(NVIDIAを上回る水準)、次四半期はガイダンスで約500億ドル・粗利益率約86%を見込む。加えて長期・下限価格保証付きの顧客契約群があり、強気派はこれによってメモリーが「コモディティ」から格上げされると見ている。
  • CEOがタイマーを外した。 サンジェイ・メロトラCEOは市場に対し、供給が需要に追いつく時期について*「見通しが立たない」*と述べ、2028年までは業界の供給が緩やかにでも改善するとは見ていないと語った。同じ週にアップルも屈服し、ハードウェア価格を引き上げた。
  • 論点はもはや「不足かどうか」ではない。 *「どれだけ続くか」*だ。筋金入りの弱気派であるジム・チャノスですらここでDRAM株のショートには踏み切らない。最もクリーンな弱気シグナルであるSKハイニックスのコモディティDRAMへの生産能力シフトも、正反対の2通りに解釈されている。

今週の新情報

1. マイクロンの決算が今週すべてだった(事業者データ)。 CNBCのSquawk on the Streetでデビッド・ファーバーは、*「純利益は前四半期比で倍増し、粗利益率のガイダンスはNVIDIAのトップラインすら上回る…営業キャッシュフローは四半期で250億ドル、フリーキャッシュフローは180億ドルで過去最高」だったと決算内容を解説し、「粗利益率84.9%」だったと述べた。テーマを動かしたのは決算のビートそのものではなく構造的な要因だ。サンジェイ・メロトラCEOの、「現時点で、メモリー供給が増加する需要にいつ追いつくのか見通しが立っていない」*という発言であり、2028年までは緩やかな改善すら見込めないという(The Rundown)。

2. 受注残がリレーティングの根拠(事業者データ)。 マイクロンは*「14件の戦略的顧客契約を締結し、1000億ドルの契約済み売上を確保。生産能力を確保するために220億ドルを現金で拠出…少なくとも2027年まで完売」状態だと、CNBCのHalftime Reportでステファニー・リンクが述べた。彼女はASP(平均販売価格)の上昇を「DRAMが60%、NANDが80%」と見積もった。The AI Investor Podcastでは、これらの契約は「2030年まで」続き、売上の「50%超」が契約対象になり得るとの見方が示された。そして示唆的なことに、マイクロンが唯一未達だったのは設備投資額だったという。「望むほどの速さで生産能力を積み増せていない」*のだ。設備投資の未達が強気シグナルになる、これこそがこのスーパーサイクルを一言で表すデータ点だ。

3. 業界の外側から見た価格の実態(業界専門家)。 最も鋭い供給サイドの整理は、自動車ショーの場からもたらされた。カーニーのパートナー、Kushal Fernandes氏はAutomotive News Daily Driveで、DRAM価格が*「わずか4カ月で約450%上昇」したと述べ、これは通常のサイクルではなく「AI企業の軍拡競争によって引き起こされた供給の構造的な再配分」だと指摘した。同氏の核心的な技術ポイントは、「同じ1ギガバイトのHBMを作るには、通常のDRAM1ギガバイトの3〜4倍のウエハーが必要」というもので、需要が増えると同時に、ユニットあたりで消費する供給量も増えるということだ。また規律の面にも触れ、3社のサプライヤーは「驚くほど規律を保っている…コロナ禍の供給不足時ほどではない」とし、新規生産能力の立ち上がりには「2〜3年」*かかると指摘した。

4. アップルが屈した(波及効果)。 メモリーはいまやインフレの伝播経路になっている。Squawk on the StreetでCNBCは、*「メモリー価格はこの3四半期で4倍になった」と指摘し、アップルは「iPhone 18 Proのコストが、Proグレードで280ドル増加する」と試算しているとした。アップル自身の言葉によれば、業界は「AIデータセンターがメモリーとストレージ需要を異例の規模で押し上げるという、前例のない課題」*に直面しているという。家電業界で最も強い購買力を持つバイヤーが価格上昇を飲み込んだこと自体が、このサイクルで誰が主導権を握っているかを物語っている。

5. SKハイニックスが米国市場に上場へ(事業者/構造的要因)。 Bloomberg Techによれば、HBMでサムスンを*「追い越した」ハイニックスは、「7月10日にADRの取引を開始する」*計画で、ファブ拡張資金として約290億ドルを調達する見込みだ。史上トップ5に入る可能性のある大型上場であり、このトレードに乗る新たな手段となる。

論点整理

強気派の主張を代弁する(構造的・複数年にわたる)。 供給サイドの制約はセンチメントではなく物理的な制約だ。ロング・ショート運用者のVal Zlatev氏はMacroMinds Symposiumで(Monetary Matters)、装置メーカーは*「売上高や出荷台数を年30%を大きく超えるペースでは伸ばせない…年30〜35%がほぼ上限」だと主張し、需要に関わらずビット供給には上限があるとした。メモリー価格は「4〜5倍」に上昇し、PC/スマートフォンの部材費(BOM)に占める割合は「20%からいまや50%程度」に、出荷台数は「10%台半ばの減少」だという。彼の結論は、市場は「6〜9カ月先に大幅な価格急落」を織り込んでいるが「それが起きる可能性は非常に低い」というもので、ピークは「なだらかで…2、3年、あるいは4年」*は下降局面に転じないとの見立てだ。

弱気派の主張を代弁する(サイクルが転換しつつある)。 結局のところDRAMはDRAMだ。The Morning FilterでWill Kerwin氏はメモリー銘柄を供給制約下にあるコモディティチップと位置づけ、「主要メモリーメーカー6社が2027年後半から2028年にかけて大規模な新規供給を積み増している」とし、マイクロンはモーニングスターのフェアバリュー455ドルの「2倍以上」で取引されていると指摘した。最も明確な兆候は、SKハイニックスが高マージンのHBMから安価なコモディティDRAMへとシフトしているとの現地報道で、あるブルームバーグのゲストはこれを*「現在の高騰したメモリー価格サイクルがいずれ反転することを示す早期警告シグナル」*と読んだ(Bloomberg Businessweek)。

これが方向性ではなく持続期間をめぐる論争だという証左。 あのジム・チャノスですらショートに踏み切らない。「私の40年のキャリアで、DRAM企業のショートで1ドルでも稼いだ記憶がない…タイミングを正しく計れたことが一度もない」(Monetary Matters)。あるいはアダム・パーカー氏がCNBCで語ったように、「3カ月ならロング、3年ならショート。その間に大型トラックが1台通れるほどの隔たりがある」

注目銘柄

  • マイクロン(MU)。 強気材料: 2029〜2030年まで下限価格が保証された契約、粗利益率84.9%、Anthropicとの共同設計提携(Buy Hold Rant)。 弱気材料: サイクル底での倍率の見え方、モーニングスターFVの約2倍、2027〜28年の生産能力過剰リスク。 注視点: 第4四半期決算(ガイダンス約500億ドル/粗利益率約86%)と、2026年だけでなく2027年も完売と呼ばれるかどうか。
  • SKハイニックス(000660 KS)。 強気材料: HBMシェア首位、サムスンを凌駕。 弱気材料: HBMからDRAMへの生産能力シフトは弱気派お気に入りのチャート。 注視点: 7月10日の米国ADR上場(約290億ドル)とHBM4の配分に関する情報。
  • サムスン(005930 KS)。 強気材料: セクター設備投資の下支え役、HBMでのキャッチアップの余地。 弱気材料: いまだHBMで後れを取る。 注視点: NVIDIAでのHBM認証。
  • サンディスク(SNDK)。 強気材料: NAND ASPが*「80%上昇」弱気材料: 純粋なサイクル銘柄で、マイクロンのNAND事業単独(四半期約99億ドル)がすでに「サンディスク社全体より大きい」*(Buy Hold Rant)。 注視点: NAND契約価格の方向性。
  • NVIDIA(NVDA)。 Coatueのフィリップ・ラフォン氏はSquawk Podで、*「2027年予想で13〜14倍と、非常に割安な株」*だと述べた。 注視点: 粗利益率へのインプットとしてのHBMコスト。

波及効果

  • メモリー製造装置(Advantest、BESI、Camtek、KLA、Lam、AMAT): 今週は個別銘柄への言及は少なかった。関連するシグナルはZlatev氏の*「年30〜35%」という出荷台数の上限で、バックログの見通しには強気材料だが、具体的な受注に言及した論者はいなかった。ラフォン氏の枠組みが装置関連の投資テーマとして最もクリーンだ。「どのチップが勝つかを正確に賭ける必要がない」ように「ファブへのサプライヤー」*を保有するという考え方だ。
  • パッケージング/基板(CoWoS、ハイブリッドボンディング): 薄い情報量。AT&SのCFOがIn the Knowで基板について語り、CoWoSにも言及したが、HBM固有の生産能力や歩留まりについての言及はなかった。ハイブリッドボンディングは、EUVなしでメモリーを製造する中国の代替手段として言及されたにとどまる。
  • GPUメーカー(NVIDIA、AMD): HBMは今やコスト項目として可視化されており、メモリーは来年のハイパースケーラー支出の約48%を占めるとされる(The AI Investor Podcast)。AIトレード全体への「税金」のような存在だ。
  • PC/スマートフォンOEM: ここが痛みを伴う取引先だ。アップルは価格を引き上げており、Zlatev氏はメモリーがBOMの半分を占める中、PC/スマートフォンの出荷台数は10%台半ばの減少になると見ている。アップルほどの価格決定力を持たないOEMに注視が必要だ。

先週からの変化

大きく動いた。先週はマイクロン決算の事前予想と、コスピ主導の半導体売り(SKハイニックスとサムスンはそれぞれ週半ばに*-12%)だった。今週は実際の決算が発表され、それは相場の空気を「サイクルは反転するのか」から「この高原状態はいつまで続くのか」へと一変させる圧巻の内容だった。今週新たに出てきたのは、1000億ドルの受注残、CEOによる明確な「見通しが立たない」*という発言、アップルの値上げ、そしてSKハイニックスADR上場の確定日である7月10日だ。

情報のギャップ

  • HBM3E/HBM4の確定的な認証・歩留まり(KGS)データの更新はなし。 HBM3Eは*「デジタルゴールド…NVIDIAのBlackwellを支える基盤」*と称された(Motley Fool)が、スタック数、ビン分け、歩留まり数値は出てこなかった。
  • 明確な契約価格の水準データはなし。 方向性を示す最良の指標は、DRAM ASP+60%/NAND+80%(Halftime)、4カ月で450%というDRAM価格上昇(Kearney)、そしてTelltalesによる*「DRAM契約価格が今四半期に50〜55%上昇する見込み」*という主張だが、この番組はAI音声生成かつ情報集約型のため、二次情報として扱うべきだ。
  • 中国(CXMT/YMTC)は依然として定性的な情報にとどまる。 CXMTは*「今年、マイクロンの3倍の生産能力を積み増している」(The AI Investor Podcast)とされ、「安価なレガシーDRAMで世界市場を席巻する」(Motley Fool)ための工場を建設中だが、プロセスノード、歩留まり、ビット数のデータはない。アナリストのMehdi Hosseini氏(Closing Bell)は、YMTC/CXMTに対する米国の輸出規制強化*を注視すべきリスクとして挙げた。
  • SKハイニックス/サムスンの決算詳細はなし。 今週のコメントはすべて株価動向やADR上場に関するもので、セグメント別の財務情報には触れていない。