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FERC、6大系統運用者に60日の期限を突き付ける

FERCはデータセンター向けの全国統一ルール策定を見送り、代わりに6つのRTO(地域送電機関)に60日の猶予を伴う説明命令(show-cause order)を発した。送電網・原子力・ウランを軸とする強気シナリオは近年で最も説得力のある形で語られた一方、最も鋭い反論はその強気シナリオ全体の土台となる需要予測そのものに向けられた。2026年6月30日週の総括。

Powering AI: Grid, Gas, Generation & Nuclear

2026年6月30日週: FERC、6大系統運用者に60日の期限を突き付ける


Powering AI: Grid, Gas, Generation & Nuclear、2026年6月30日(火)

この2年間、ボトルネックを巡る話は緩慢な消耗戦だった。変圧器は足りず、系統接続待ち行列(インターコネクションキュー)は何年にも及び、誰もが他の誰かの動きを待っていた。だが今週、規制当局は待つのをやめた。FERCは6つの系統運用者に60日の期限を突き付け、NextEraの目玉送電線案件は費用負担を巡る争いで立ち往生し、ウラン業界は普段は小声でしか語らない本音をはっきりと口にし始めた。今週、スーパーサイクルの「音量」が上がったわけではない。「争点」が増えたのだ。

要点(TL;DR)

  • FERCはデータセンター向けの全国統一ルール策定を見送り、代わりに6つのRTOに説明命令を発した。これは60日という期限付きの実質的なカタリストであり、単なるシンクタンクの白書ではない。
  • 強気シナリオ(送電網設備、原子力、ウランの再評価が同時進行する)は近年で最も説得力のある形で語られたが、今週最も具体的な反論はそのトレード全体の土台となる需要予測に向けられた。
  • ウラン燃料サイクルの内部関係者は今、ボトルネックが川上(フロントエンド)に移ったと語る。長期価格は1ポンド94ドルまで上昇している。

今週の新展開

FERC、様子見をやめて時計を動かし始めた。 今週最大の展開は規制面での動きだった。POLITICO Energyのポッドキャストで、FERC委員長ローラ・スウェット氏は6月24日に同委員会が下した決定の経緯を説明した。全国統一のコロケーション(併設)ルールを一つ定める代わりに、FERCはPJM、CAISO、NYISO、SPPを含む6つの地域系統運用者に対し、データセンターの系統接続・費用配分ルールを正当化するか、書き改めるかを求める説明命令を発した。SPPは既に独自の新提案を出しており際立った存在だ。PJMは「コロケーションに関する連邦動力法206条手続きの対象」となっている。期限は厳格で60日、RTOが205条に基づく申請を行った場合は45日間の猶予(abeyance)となる。彼女が本気の規制当局者であり、単なる見出し狙いではないと分かる手がかりが二つある。ひとつは、「株価を暴落させない」ためにわざわざ市場引け後に発表を行ったこと。もうひとつは、意図的に連邦の管轄内にとどまったことだ。これは、ハイパースケーラーがメーター裏でコロケーションできるかどうか、できるとしてどれだけの速さで可能かを左右する枠組みであり、PJMのマーチャント発電複合体全体が待ち望んでいたものにほかならない。

なぜこれが一筋縄ではいかないのかを物語る一言。 Catalyst with Shayle Kannでは、Latitudeのメイヴ・オールサップ氏がNextEraの「Mid-Atlantic Reliability Line」を分析した。全長約100マイル、総工費は10億ドル弱で、ChatGPTがまだ存在しなかった2022年にPJMの承認を得た案件だ。それが今、4つの州委員会にまたがって立ち往生している。消費者保護団体はハイパースケーラー各社が2026年3月に交わした「ホワイトハウス電気料金保護誓約(White House Ratepayer Protection Pledge)」を武器として振りかざし、メリーランド州は2026年5月、データセンター向け送電コストをドミニオン社の管轄区域に転嫁させるための新たなFERC提訴を行った。カン氏の言葉こそ心に留めるべきだ。「電力こそがAI成長のレートリミッター(律速要因)だ」。 その裏付けとなる数字は容赦ない。米国は2013年に高圧送電線を約4,000マイル新設したが、近年の平均は数百マイルにとどまり、必要量は数千マイル規模だ。ボトルネックはチップではなく、送電線にある。

ワシントン、大型原子力に予算を投じる。 Motley Fool Hidden Gems Investingでは、5つの大型原子力プロジェクトへの新たな連邦融資支援について特別目的事業体(SPV)を通じた仕組みが解説された。AP1000は「実質的に唯一の実行可能な選択肢……唯一のライセンス取得済み設計」であり、その親会社はキャメコ(CCJ)で、同社はウェスティングハウスをブルックフィールドと50/50で保有している。米国最大の原子力事業者であり既にウォルマートに電力を供給しているコンステレーション(CEG)は、新規ユニットの最有力候補だ。GEベルノバ(GEV)はタービン需要を取り込むが、同社のガスタービンの受注残は既に「2031年まで詰まっている」。ゴールドマン・サックス発の指標となる数字によれば、データセンターの電力需要は2030年までに160%増加し、ハイパースケーラー各社の設備投資のうち約1.3兆ドルが発電関連インフラに振り向けられる見通しだ。

ウランの「日の目を見るとき」。 ウラン業界の重鎮2人が、異なる角度から同じテーゼを提示した。The KE Reportでは、Uranium Insiderのジャスティン・フーン氏が、世界原子燃料市場会議(World Nuclear Fuel Markets conference)でのUXC社長ジョナサン・ヒンゼ氏の発言を紹介した。既に判明している分だけで、原子力発電容量は5〜6年で約400GWから約500GWへ拡大する見込みであり、「ウランについては懸念している」、ボトルネックは転換・濃縮工程から川上のウラン採掘そのものへと移っている、という。長期価格は1ポンド94ドルで、年初来14ドル上昇しており、約10か月間で約1億5,000万ポンドが契約された。Money of Mineでは、Sachem Coveのマイク・アルキン氏が構造的な見立てを語った。契約市場での価格は17ドルから100ドル超に上昇し、既存の稼働炉は約430基、建設中は約80基に上るが、「その基礎需要を賄うだけの経済的に採算の合うウランが十分にない」うえ、主要鉱山は5〜7年で枯渇する見込みだという。同氏はSMR(小型モジュール炉)やデータセンター需要の話すら持ち出す必要がない。既存の原子炉群だけで需要は十分に成り立つというわけだ。

キャメコCEOが語る、電力会社が「一番手」になりたがらない理由。 Energy Evolutionでは、グラント・アイザック氏が新規建設が停滞する理由について最も率直な見方を示した。ヴォグトル原発の1基目のAP1000には約180億ドル、2基目には約120億ドルかかった。「問題は最初の2基を建てたことではない……問題は、そこで建設を止めてしまったことだ」。エネルギー担当大臣が号令一つで決められるような制度が存在しない米国では、コンステレーションのジョー・ドミンゲス氏が2基の原子炉を建てるということは、株主に対して「次に一番コストの高い2基を建てます」と伝えることに等しく、いわば「銅メダルを争うレース」だ。戦略的パートナーシップにおける解決策は、政府が最大10基分の長納期部材を一括で先行発注することにある。既にAP1000の運転許可を2基分保有しているデューク・エナジー(DUK)は注目に値する。ノースカロライナ州では、1GW超の原子力発電所が承認されるまでベースロード電源の廃止を禁じる法案の審議が進んでいる。

論争のポイント

強気派。 最も明快な整理はAnimal Spiritsで示された。First Trustの送電網担当ストラテジストは、ブルームバーグのデータによれば今後25年で約1,700万マイルの送配電網が新設される見込みであり、我々はその「序盤」にいるにすぎないと論じた。恩恵を受ける銘柄群を並べれば、それだけでこのスーパーサイクルの全体像が見えてくる。クアンタ(PWR)、イートン(ETN)、シュナイダーエレクトリック、ABB、ジョンソンコントロールズ、ケーブルメーカーのプリスミアンなどだ。同氏の最も重要な指摘は、これが単なるデータセンター向けのベットではないという点だ。国内回帰(リショアリング、彼の地元にあるマイクロンの製造拠点が例)、送電網の強靭化、そして単純に老朽化したインフラの更新需要が、たとえAIブームが一服したとしても複数年にわたる受注残として残る。これにウランの供給不足を組み合わせれば、送電網・発電・燃料が同時に再評価される構図が完成する。

弱気派。 それでも今週、最も具体的な反論はこの強気論の土台そのものに向けられた。Energy Capital Podcastでは、PJM市場に精通したゲストが、ドミニオン社が新規大口需要として約70GWを見込んでいる一方、系統全体のピーク需要は約24GWにとどまると指摘した。この数字を独立系統監視機関(independent market monitor)は「絵空事」と一刀両断した。そのメカニズムは「幻の需要(phantom load)」だ。デベロッパーは同一プロジェクトを複数の管轄区域に重複して申請し、電力会社は精査していない補足申請をPJMに投げ込み、集計値が水増しされていく。弱気論を補強するように、The Energy GangではWood Mac(ウッド・マッケンジー)のエド・クルックス氏が、電力会社による計画設備投資1.4兆ドルに対し、料金引き上げ申請はわずか310億ドルにとどまっていることを示し、今後5年で電気料金が約40%上昇しかねないと警鐘を鳴らした。これはまさに、レートベース回収を遅らせ、MARLのような送電線案件を停滞させる政治的反発を招く展開だ。そしてSunCastでは、VPP(バーチャルパワープラント)がガスピーカー発電に比べ20〜40%安く、約3倍速く容量を供給できるという主張が、「効率化がこの流れの上限を決める」という論点を一言で示した。強気派であるMotley Foolの論者たちですら、自らが推す銘柄について正しい問いを投げかけている。数基の原子炉の稼働開始が果たしてCEGやGEVの業績を実際に押し上げるのか、それとも「原子力業界がこれらの企業を必要としている度合いのほうが、これらの企業が原子力を必要としている度合いより大きい」のではないか、と。

波及効果

送電線の完成に7〜10年、ガスタービンにはその4分の1程度の期間しかかからないのであれば、需要はガスに流れる。バリー・シナモン氏はThe Energy Showでこの構図を明快に説いた。これはオンサイト発電機(CMI、CAT)と、タービンOEM各社(GEVの受注残は2031年まで)への波及効果であり、両者はこの強気シナリオの源泉であると同時にボトルネックそのものでもある。同じ遅延が、どの発電源が最終的に勝者となるかにかかわらず送電網の建設が必ず消費する、銅・電磁鋼板・ケーブル関連銘柄(FCX、プリスミアン)への資金流入も後押しする。ファイナンス面では、Tech Disruptorsが明快に価格付けを示した。投資適格級のハイパースケーラーによるオフテイク契約があれば、これらの案件はおおむねSOFR+250〜350ベーシスポイント程度で資金調達できるのに対し、ネオクラウド勢はS+450〜500を支払う。オフテイク先の信用力こそが取引の本質であり、変電所・スイッチギア・その配下のケーブルインフラにプライベートエクイティ資金が流れ込んでいる。ウランの波及効果は最も長期にわたる。ロシア産を除く燃料サイクルは、川上から川下まで2年以上を要する。だからこそ電力会社は今、2032〜2033年分のウランを契約しており、だからこそ採掘企業だけでなく、転換・濃縮を担う企業もまたクリティカルパス上に位置しているのだ。