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6月CPIの急冷が7月利上げ観測を潰す、ウォーシュ議長は言質を避ける - The Fed & the Front End - 2026年7月20日号

2026年7月20日週の金利・マクロ関連ポッドキャスト分析。予想外に冷え込んだ6月CPIが、ケビン・ウォーシュ新FRB議長の就任後初の議会証言と同じ朝に発表され、7月利上げの織り込み確率は約40%から約12%へと急落した一方、より根深い9月会合をめぐる攻防は全く決着していない。

The Fed & the Front End

2026年7月20日週:6月CPIの急冷が7月利上げ観測を潰す、ウォーシュ議長は言質を避ける


今週最も重要な出来事は、6月のインフレ統計が本当に驚くほど冷え込んだ数字となり、それがまさにケビン・ウォーシュ氏がFRB議長として初めて議会証言に臨んだその朝に発表されたことだ。消費者物価は月間でなんと0.4%下落し、これは2020年4月以来最大の月間下落幅であり、FRBが最も重視する食品・エネルギーを除く「コア」指数は5年以上ぶりに前月比横ばいとなった。一夜にして、7月29日のFOMCでの利上げ観測は約40%から約12%へと崩れ落ちた。ウォーシュ氏自身は勝利宣言を拒み、「これは一つのデータ点にすぎない」「データをつまみ食いしたくない」と述べ、「使命はまだ達成されていない」と繰り返した。つまり短期的な見通しはわずか一日でハト派的に転換した一方、FRBが9月にまだ利上げするのか、それとも今回が利上げサイクルの天井なのかという中期的な問いは、むしろ大きく開いたままになった。今週最も声高で踏み込んだコメントは「据え置き」に傾いていたが、タカ派の主張も全く死んでいるわけではなく、ある銀行の言語分析モデルによれば、直近2週間はむしろ2022年以来最もタカ派的なFRB高官の発言が続いた期間だという。以下、今週実際に語られた内容を、発言者ごとに整理する。

TL;DR

  • 6月CPI統計(7月14日発表)が今週最大のイベントだった。総合指数は月間で0.4%下落(2020年4月以来最大の下落幅)し、前年比インフレ率は4.2%から3.5%へ低下、コア指数は横ばいで、コアの前年比は2.9%から2.6%へ鈍化した。7月利上げの織り込み確率は急落し、各デスクの推計では約40〜42%から12〜20%程度まで下がったとされ、7月利上げはほぼ市場の選択肢から外れたとみられている。

  • ウォーシュ氏は初の議会証言(7月14〜15日)で、インフレには強気の姿勢を示しつつ、実際に何をするつもりかについては市場にほとんど何も語らなかった。「税」と呼んだインフレを「取り除く」と約束し、FRBの「体制転換」を掲げ、フォワードガイダンスの提供は拒否し、マーク・アンドリーセン氏、ラグラム・ラジャン氏、マーヴィン・キング氏といった名前を含む5つの外部「タスクフォース」を活用して、FRBのデータ計測、コミュニケーション、バランスシート運営のあり方を見直す方針を示した。

  • この論争は文字通り両論あるものだが、今週は「据え置き」派の声の方が大きかった。ウォール・ストリート・ジャーナルのグレッグ・イップ氏、ウルフ・リサーチのステファニー・ロス氏、コンファレンス・ボード、ヤルデニ・リサーチ、CFRAはいずれも利上げの根拠は乏しいと主張した。タカ派側の根拠は、FOMC自体が割れていること、クリス・ウォラー理事とダラス連銀のロリー・ローガン総裁のタカ派的発言、そしてRenMacが9月利上げを予想していること、さらにその上に原油価格がある。イラン情勢の再燃で原油は再び上昇している。

What's new

6月のインフレ統計は、7月の利上げを選択肢から外すに十分なほど冷え込んだ。 7月14日、米労働省(BLS)は6月の消費者物価が市場予想の約0.2%下落に反し0.4%下落したと発表した。前月は上昇していただけに、なおさら意外感が強かった。これにより前年比インフレ率は4.2%から3.5%へ低下し、変動の大きい食品・エネルギーを除く「コア」指数は月間横ばい、前年比では2.9%から2.6%へと鈍化した。住宅ローン業界の解説者ロビー・クリスマン氏がまとめた通り、コアCPIは「市場予想の0.2%上昇に対して横ばいで…極めて穏やかなインフレ統計だ」とされ、その後の2年債利回りは4.17%で推移したChrisman Commentary - Daily Mortgage News(7月14日)。利上げ確率の反応は激しかった。CNBC「Power Lunch」でCMEのリック・サンテリ氏は、7月利上げの確率は「昨日の42%から本日はわずか12%へ」下がったと述べる一方、12月については市場が依然として「0.25%利上げの確率42%」「少なくとも2回利上げの確率30%」を織り込んでいると指摘したPower Lunch(7月14日)。フェドウォッチ・アドバイザーズ創業者のベン・エモンズ氏は、リスクリバーサル・ポッドキャストで同じ急落を一言で表現した。「昨日の時点で7月利上げは40%近く織り込まれていた。それが一気に12%まで落ちた…変化はそれくらい速い」RiskReversal Pod(7月15日)。翌日には卸売物価指数(PPI)も月間マイナス0.3%と軟調だったが、前年比では5.5%とまだ高水準だったSquawk on the Street(7月15日)。

ウォーシュ氏は強気の言葉を並べつつ、市場にはほぼ何も語らなかった。 新議長にとって初の証言は今週の政治的なハイライトだったが、そのメッセージは意図的に取引材料にしにくいものだった。彼はインフレを是正すべき道義的な失敗と位置づけた。「目標を上回るインフレが63か月続いたことは、米国民と企業にとって不公平な負担だった。それは税金のようなものであり、我々はその税を取り除くつもりだ。もしそのために政策の体制転換が必要なら…それが我々の目指すところだ」Kudlow(7月14日)。彼は成果も約束した。「政策を正しく運営できれば、そして私はそれができると確信しているが、過去5年間続いたインフレの高騰は過去のものになる」としながらも、その方法については意図的に語らず、「フォワードガイダンスは大幅に減らし、傾聴を重視する」「事前のコミットメントではなく、より深く真剣な議論を行う」と述べるにとどめたSquawk on the Street(7月14日)。2日目、まさに冷え込んだCPI数値について直接問われると、彼は成功宣言を拒んだ。「これは一つのデータ点にすぎない。データに関するタスクフォースを設けたのは、データを過大評価したり、つまみ食いしたりしたくないからだ。今朝の数値を見て『使命は達成された、すべて順調だ』と考える者もいるかもしれないが、それは私の見解ではない」Squawk on the Street(7月15日)。民主党議員からホワイトハウスの圧力に屈するのかと問われると、彼は「私が約束できるのは、法律に従い、データに従い、我々の最善の判断に従うということだけだ」とだけ答えたThe Exchange(7月14日)。今週全体を通じての結論は、彼は結果として何の新情報も出さなかった、そしてそれこそが狙いだった、ということだ。

ウォーシュ氏の5つの「タスクフォース」の全容が明らかになり、それは重量級かつイデオロギー的に多様な顔ぶれだった。 スティフェルの最高投資責任者マイケル・オキーフ氏は1エピソード丸ごとを使ってその中身を解説し、これらのパネルが年末までにFRBの運営方法を書き換えることを狙っているという点で、細部にも意味があると強調した。5つの分野は、生産性と雇用、データ、バランスシート(現在「7兆ドルをやや下回る」規模)、コミュニケーション、そしてインフレのフレームワークだ。オキーフ氏が読み上げた外部リーダーには、生産性と雇用の分野でベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツ共同創業者のマーク・アンドリーセン氏、Xboxの最高経営責任者アシャ・シャルマ氏、スタンフォード大学のチャールズ・I・ジョーンズ氏。データの分野でハーバード大学のラジ・チェティ氏、ウォルマート元CEOのダグ・マクミロン氏、シカゴ大学のケビン・マーフィー氏。バランスシートの分野で元FRB理事のジェレミー・スタイン氏、インド準備銀行元総裁のラグラム・ラジャン氏、財務省元チーフエコノミストのカレン・ダイナン氏。コミュニケーションの分野で英イングランド銀行元総裁のマーヴィン・キング氏、ブラジル中央銀行元総裁のアルミニオ・フラガ氏。そしてインフレのフレームワークの分野でハーバード大学のグレッグ・マンキュー氏、ニューヨーク大学のトーマス・サージェント氏、国際決済銀行(BIS)元顧問のウィリアム・ホワイト氏が含まれる。オキーフ氏の見立てでは、この顔ぶれは「かなりバランスが取れており、間違いなく高い実績と経験を備えている」とし、「かなり楽観的な」印象を持ったという。またウォーシュ氏の考え方に一貫して流れるテーマとして、「遅行指標よりリアルタイムデータを重視する姿勢」、真の危機のときにのみバランスシートを活用する縮小路線、そして将来の政策に関するシグナルを大幅に減らす方向性を指摘したStifel SightLines Podcast(7月16日)。

あるメガバンクの言語分析モデルによれば、利上げ確率が下がる一方で、直近2週間はFRB高官の発言が2022年以来最もタカ派的だったという逆説的な結果が出た。 これは今週最も直感に反するデータポイントだ。JPモルガンのポッドキャスト「At Any Rate」で戦略担当のパトリック・ロック氏は、今回のCPI統計を「今サイクル開始以来、市場予想対比で2番目に大きなサプライズだった」と述べ、幅広い品目で弱さが見られたと指摘した。「コア財は10ベーシスポイント低下した。コアサービスは横ばいだった。そして意外にも、スーパーコアも20ベーシスポイントのマイナスで…これは2025年3月以来初めての縮小だ」。それにもかかわらず、同僚のアナリストは、FRB高官の発言がどれだけタカ派的かハト派的かを自然言語処理でスコア化するJPモルガンの「Hawkduff」指数について、直近2週間の変化が「2022年以来最もタカ派的」だったと指摘した。これはウォラー理事とダラス連銀のロリー・ローガン総裁の発言、そしてウォーシュ議長自身の発言によって押し上げられたものだという。言い換えれば、データが軟化する一方で当局者はより強気な発言を続けており、まさにそれゆえに市場は利上げ観測を消し去るのではなく、あくまで「先送り」するにとどめている。そしてまさにそれゆえに、JPモルガンはFOMC会合前にドル高見通しを放棄することに慎重だAt Any Rate(7月17日)。

市場が自らFRBに代わって引き締めを行い、その後一部を巻き戻した。 今週は短期金利の値動き自体が一つの物語になった。CPI発表前、短期国債利回りは、イラン情勢の再燃と原油高がインフレを再燃させるとの懸念から「2026年の新高値を更新」していたChrisman Commentary - Daily Mortgage News(7月14日)。しかし、冷え込んだCPIによって2年債利回りは8〜10ベーシスポイント低下し、イールドカーブはスティープ化した。サンテリ氏の表現によれば、「2年債利回りは約8ベーシスポイント低下し、10年債利回りはその半分ほど低下」しており、カーブは「約3週間前の20台半ばからほぼ40ベーシスポイントまで」スティープ化したPower Lunch(7月14日)。それでも、実体経済にとって政策はなお引き締め的だ。30年固定住宅ローン金利は約6.65%と、ほぼ1年ぶりの高水準にあるSquawk on the Street(7月15日)。

The debate

これは文字通り拮抗した本物の論争だ。だが今週はその性質が変化した。冷え込んだCPIがハト派にマイクを渡した一方、タカ派はFOMC自体のドットプロット、いくつかの踏み込んだ当局者発言、そして何より原油に依拠している。

ハト派(据え置き、そしていずれは利下げも)。 最も強気な「利上げなし」論は、ウォール・ストリート・ジャーナルのチーフ経済コメンテーター、グレッグ・イップ氏からのもので、彼は一切ヘッジしなかった。「CPIデータは素晴らしい…これは単なる一つの数字ではない。過去6か月のうち5か月にわたってCPIは非常に良好だった」。彼の論拠は、FRBが重視する物価指標(PCE)がCPIに対して不自然に高めに推移してきたが、いずれ「CPIインフレに収束していく」可能性が高く、その場合「ここに五段階警報のような火事はない。今月利上げする根拠はない。今年利上げする強い根拠もほとんどないと思う」というものだ。彼は利下げの根拠でもないと慎重に付け加えた。「名目GDPは非常に強い。金融環境も非常に緩い」としつつ、むしろ金利水準はすでに中立に近いのかもしれないとの見方を示したThe Exchange(7月14日)。ウルフ・リサーチのチーフエコノミスト、ステファニー・ロス氏も同じ見立てをし、転換の時期まで特定した。インフレは「ちょうどこの時期に頂点を打つ予定だった」とし、関税やAI関連の物価圧力は薄れつつあり、軟調なCPIによって7月利上げは「もはやまず起こりそうにない」とした。彼女はFRBが今年は据え置くと見ているが、コアインフレは依然として「3%前後…目標を100ベーシスポイント、それ以上上回っている」水準にあるため、利下げは「まだ相当先」だとしつつ、「データがそれを裏付けるなら」9月利上げを排除はしないとしたThe Pomp Podcast(7月15日)。コンファレンス・ボードのシニア米国エコノミスト、エレナ・シュリャトワ氏は、直前にウォラー理事との対談を司会したばかりだったが、下半期を通じて「FRBは据え置きを続ける」とし、その根拠として住宅の減速、関税の押し上げ効果の剥落、ガソリン価格が6月平均を依然下回っていることを挙げたBloomberg Businessweek(7月14日)。ベテラン・ストラテジストのエド・ヤルデニ氏(ヤルデニ・リサーチ)は、今回の統計を「驚くほど良好」と評し、5月がインフレの「高水準の到達点」になるだろうと述べ、賃金インフレの根底にある単位労働コストが「0.5%まで」低下したことを「安心材料」と指摘した。彼の長年の持論である「ロアリング2020年代」テーゼは、AI主導の生産性向上がインフレを抑制し続けるというものだPower Lunch(7月14日)。CFRAのサム・ストーバル氏は、「過去50年の新FRB議長のほぼ全員にとって、就任後最初の一手は利上げだった」としつつも、「今年FRBはおそらく利上げしないだろう」が「利下げもおそらく終えている」と考え、市場は「足踏み状態」になるとみているThe Exchange(7月14日)。

最も歯に衣着せぬハト派的見方は、シーウルフ・キャピタルのマネー・マネージャー、ポーター・コリンズ氏とヴィンセント・ダニエル氏から出た。両氏は、FRBはそもそも利上げをする余裕がないと主張する。「FRBは箱の中に自らを閉じ込めている…税収全体に占める利払い費の割合は拡大し続けている。つまり自分たちで自分たちを追い込んでしまった。金利を上げて本気でインフレと戦う余裕は、そもそも彼らにはないと思う」。両氏の基本シナリオは、ウォーシュ氏が「CPIとその構造を…利用して低インフレを演出させ」、それによって物価安定を主張できるようにするというもので、「せいぜい0.25%(1回分)」の利上げにとどまり、「27年には利下げに転じる」との見立てだ。ベッティング市場のある契約が「次のFRBの利上げ」は「2027年より前には起こらない」ことを織り込んでいるとも指摘し、公式データそのものへの根深い懐疑も示した。ダニエル氏は、自分自身の健康保険料が30%上昇する見通しであるにもかかわらず、「スーパーコア指数では私が支払う医療費は減っていることになる」と述べたRiskReversal Pod(7月16日)。ポッドキャスト「Forward Guidance」の司会者たちは、市場ベースの別のハト派的解釈を示した。債券に織り込まれたフォワード・インフレ期待は1年先で「1%のインフレ」、2年先では「2%を下回る」水準を示唆しており、「FRBは名目金利についてこれまで過度にタカ派的だった」ため「市場の一部で信用を締め付けている」としたForward Guidance(7月17日)。ユーロダラー大学のジェフ・スナイダー氏は、コア指数の冷え込みをむしろ良いニュースではなく純然たる弱さの表れと読んだ。今回の下落は「2020年5月以来初めてのコアCPI伸び率の低下」であり、統計全体を見渡しても「二次的なインフレの兆候などほとんど無いに等しい一方で、需要破壊を示す証拠ははるかに多い」とした。彼の警告は、FRBが減速しつつある経済に向けてなお利上げを行う可能性、彼の言葉で言えば「トリシェ化」だ。これは欧州中央銀行が景気後退の直前に利上げした2008年の過ちを繰り返す動きを指す彼独自の表現であるEurodollar University(7月15日)。

タカ派(利上げはまだ来る、おそらく9月に)。 タカ派の論拠はまずFRB自身にある。19人の政策担当者のうち「約半数が年末までに金利引き上げを見込み、残り半数は据え置きないし利下げを支持している」というほぼ真っ二つの分裂状態だInsight On Business the News Hour(7月14日)。今週は2名の当局者がこの見方を後押しした。ウォラー理事は月曜日、「今週さらにコアインフレの高い数値が出れば、FOMCは近い将来の金融引き締めを検討する必要が出てくるだろう」と述べつつ、「前の戦いを戦い続けること」への警戒も示したBloomberg Businessweek(7月14日)。JPモルガンが指摘した通り、この発言は一時的に2年債利回りを新高値へ押し上げたが、その後CPI発表によって帳消しになった。ダラス連銀のロリー・ローガン総裁はさらに踏み込み、「多少高めの金利水準の方が、見通しとリスクのバランスをむしろ改善する」と示唆したAt Any Rate(7月17日)。最も具体的な予測を示したのはRenMacの経済調査責任者、ニール・デュッタ氏で、彼はインフレが実際に減速しつつあると考えつつも、1か月分の軟調な数字だけではFOMCは動かないと主張した。「それだけでは、最終的に重要となるFRB内のタカ派の姿勢を実質的に変えることにはならない…もっと多くの、そしてもっと近い将来にもっと多くのこうした数字が必要だ」。彼の基本シナリオは「おそらく9月に利上げする」というもので、「多くて2回程度」の利上げにとどまり、その根拠として、経済はFRBのインフレ目標よりも成長目標にずっと近いところで推移しているため「インフレがFRBの反応関数を支配している」という見方を示したRenMac(7月17日)。キー・ウェルス・マターズのチームも、市場が今や「10月への一本化」を織り込んでいることに同意しつつ、「FRBが必要とするのはCPI一回分だけではない」とし、今月中に発表予定のPCE統計を含め複数の統計にわたるトレンドを確認したうえで方針を転換すると強調したKey Wealth Matters(7月17日)。そして金鉱株専門の投資家エイドリアン・デイ氏(エイドリアン・デイ・アセット・マネジメント)は、CPI発表前に市場の織り込みがどれほど振れていたかを指摘し、市場は「年内利上げの確率100%、2回目の利上げ確率40%」を織り込んでいたとし、その要因を「イラン戦争と原油価格の急騰」に求めたMining Stock Daily(7月14日)。

The trades in play

  • デュレーションを保有し、住宅ローン関連は焦らず待つ。 利上げ確率が低下し、イールドカーブがスティープ化する中、サンテリ氏の見立てでは、住宅ローン金利を左右する10年債利回りのピークはすでに過ぎた可能性が高い。彼は10年債利回りが「5月19日の高水準…4.67%を下回る水準」にとどまると予想し、住宅購入者は「多少辛抱強く」構えれば、「2月27日の終値ベースの利回り安値である4%を下回る水準を再びテストする」可能性もあるとした。大きな動きではないが、30年ローンにとっては意味のある差になるPower Lunch(7月14日)。

  • ドルと「キャリー」トレード。 JPモルガンは下半期入りに際してドル高見通しを取っていたが、それはFRBがタカ派姿勢を維持することが条件だとしていた。冷え込んだCPIは「戦術的な意味での後退材料」だったという。彼らのより確信度の高いアイデアは「キャリー」、すなわち低利回り通貨で調達して高利回り通貨を買うという取引で、通貨市場のボラティリティが「5〜6年ぶりの低水準」まで低下した今、「唯一のゲーム」だとしている。具体的な構成は、コロンビア・ペソのロング(円、スイスフラン、その他低利回り通貨のショートで調達)で、円については日本の年金基金が資金を国内に還流させるとの観測もあり、ワイルドカードと位置づけているAt Any Rate(7月17日)。

  • 原油需給の逼迫を受けたエネルギー・精製業界。 シーウルフは原油と精製業者に対して強気姿勢を取り、イラン情勢が円滑な供給を前提に最適化されたシステムを「詰まらせている」と主張する。「ガソリン価格はトランプ大統領の望むほど速くは下がらないだろう」とし、軽油とジェット燃料は「非常にひっ迫している」という。精製マージン(クラックスプレッド、原油と完成燃料の間で精製業者が得る利益幅)は、長年にわたり米国内で新規の製油所供給がないことから高止まりしており、両氏の集計によれば「ロシアの主要な石油精製施設38か所のうち21か所以上が攻撃を受けている」というRiskReversal Pod(7月16日)。

  • 保険としての金、大きな調整の後に。 金価格は「1月28日に1オンス5,589ドルの史上最高値をつけた」後、6月末までに「4,100ドル前後まで25%超下落した」。エコノミック・ウォー・ルームのケビン・フリーマン氏は、この下落を、確固たる健全通貨路線を掲げるFRB議長がドル高を招いたことによる「ウォーシュ・ショック」に起因すると分析する。それでも金の一部保有を維持すべきだという彼の論拠は、その裏に潜む「インフレの深い機械装置」にある。M2マネーサプライは「約23兆ドルという過去最高水準」でなお拡大を続けており、各国中央銀行は「年間1,000トン超」の金を購入しているため、「1996年以来初めて、金が米国債を上回り、世界の中央銀行が保有する単一準備資産として最大の地位に立った」というEconomic War Room(7月16日)。エイドリアン・デイ氏も、ドル高と利回り上昇という短期的な逆風を金は抱えていると同意しつつ、長期的には強気を維持しているMining Stock Daily(7月14日)。

  • AI関連銘柄にはより慎重に。 相場全体を押し上げてきたトレードにひび割れが見えるとの指摘が複数出た。キー・ウェルス・マターズのチームは、ハイテク比率の高いナスダックが週間で約3.2%下落し、AI関連銘柄が「目覚ましい上昇分をかなり吐き出した」と指摘し、社債市場が二極化しつつある点として「オラクルが格下げされ、ハイイールド債にごく近い水準まで落ちた」ことを挙げた。AI「ハイパースケーラー」各社が社債市場に大量の債務を発行し続けているためだKey Wealth Matters(7月17日)。「Forward Guidance」の司会者たちも同様に「ハイパースケーラーのスプレッドが上方にブレイクしている」と指摘しつつ、より安価なAIモデルの登場によって恐れられていたほどの設備投資が必要なくなれば「ハイパースケーラー・スクイーズ」が起こるという逆張り的なリスクにも言及したForward Guidance(7月17日)。

Read-throughs

  • フォワードガイダンスが減れば、短期金利はより神経質に動く。今週はまさにそれを証明した。 ウォーシュ氏がFRBの次の一手を事前に示唆しない方針を貫いていることは、短期金利の値動きの仕方そのものを変えつつある。最も分かりやすい例は、月曜日のウォラー理事の講演をめぐる乱高下だ。この講演は7月利上げの可能性をちらつかせて「2年債利回りを押し上げた」が、そのわずか2日後、冷え込んだCPIによって帳消しになった。「Forward Guidance」の司会者たちが指摘した通り、「ボラティリティを抑え込もうとすることで、我々はむしろ2年債利回りにより大きなばらつきを生み出してしまった」Forward Guidance(7月17日)。RenMacのニール・デュッタ氏はより深い論点を指摘した。自らの反応関数を明かさないことで、ウォーシュ氏は「一方的軍縮」とでも言うべき状況を作り出している。「自分自身の見解を明かさないことで、他の人々の見解の重要性がむしろ増してしまう」ため、市場は今や「他の当局者が何を言っているかにしがみつく」ようになっているという。その結果、皮肉なことにウォラー理事やローガン総裁のようなFOMCメンバーの発言の方が、議長本人の発言より市場を動かすようになっているRenMac(7月17日)。住宅ローンデスクの分析によれば、その具体的な代償は「ウォーシュ体制下でのFRBの透明性低下は、会合ごとの政策の不確実性を高め、入ってくるデータやFRBのコミュニケーションが短期国債利回りをより大きく左右するようになる」という点にあるChrisman Commentary - Daily Mortgage News(7月14日)。ウルフ・リサーチのロス氏も、フォワードガイダンスが存在しない世界では「あらゆるデータ発表の重要性が格段に増す…おそらくボラティリティは高まっていくだろう」と警告したThe Pomp Podcast(7月15日)。

  • インフレをめぐる議論全体が、AIに関するある一つの論争にますます収斂しつつある。 CPIの数字の裏側には、AIは今インフレ要因なのか、それとも将来的にはディスインフレ要因になるのかという論争があり、これはウォーシュ氏自身の考え方の核心部分にも直結している。複数のポッドキャストが、目下の「AIインフレ」の要因をメモリー半導体不足に求めた。ロス氏は「コンピューターソフトウェアおよび関連機器…は前年比で約15%上昇している」と指摘し、それが現在の統計を押し上げているが、いずれ薄れていく可能性が高いとしたThe Pomp Podcast(7月15日)。一方でベン・エモンズ氏は、「不足があまりに深刻」であるため「AIインフレ」は実在すると主張し、あるライブ市場のデータでは「価格がすさまじく高騰している」ことが示されているというRiskReversal Pod(7月15日)。同じエピソードでは、この話とIBM株の約25%の1日暴落を結び付けて論じられた。同社は、顧客企業が「供給制約のあるインフラを、想定される値上げ前に確保するため、四半期の設備投資をサーバー・ストレージ・メモリー購入へシフトさせた」ことを一因として挙げたとされ、エモンズ氏と司会のダン・ネイサン氏は、これを二重発注や将来的な設備過剰の「炭鉱のカナリア」になりうる兆候だと評した。ウォーシュ氏は明らかに、AI主導の生産性向上がいずれインフレを押し下げる方向に賭けており、まさにそれゆえにAIに対する彼の楽観論は「忍耐」を正当化する彼の論拠の中で大きな役割を果たしている。そして、これはまさに彼自身の委員会内のよりタカ派的なメンバーが共有していない前提でもある。

  • 原油、そしてその背後にあるイラン情勢が、単一で最大の変動要因だ。 今週はほぼ全ての論者が、ディスインフレのシナリオは原油相場の落ち着きにかかっていると認めたが、実際には落ち着いていない。WTI原油は約80ドル(6月平均の約82ドル、5月平均の98.5ドルからは下がったが、情勢再燃を受け「安値から20%上昇」)で、ブレント原油は85〜87ドル前後だったSquawk on the Street(7月15日)。「Rebel Capitalist」の司会者は、この循環をシンプルに説明した。ホルムズ海峡の混乱が続けば、原油は高止まりし、直近のインフレ急騰も定着してしまう。逆に情勢が沈静化すれば「原油は50ドル台まで下がり」、「2年債利回りは3.5%まで戻る…かなり大きく下がる」Rebel Capitalist News(7月16日)。ここが核心だ。6月のデータは、まさに情勢再燃の原油安を捉えたものであり、たとえ根底のインフレが引き続き冷え込んでいたとしても、7月の統計はより悪く見える可能性がある。

What changed this week

方向性の異なる2つの変化があった。第一に、短期的な見通しは急速にハト派へ振れた。本当に冷え込んだ6月CPIは、総合指数が0.4%下落、コアは横ばいと、2020年4月以来最大の月間下落幅を記録し、これによって7月利上げは選択肢から外れた。利上げ確率はわずか一日で約40%から約12%へと崩れ落ち、ウォーシュ氏の初証言も、7月利上げの根拠に使えるような新情報をタカ派に何一つ与えなかった。第二に、それとは逆方向に、中期的な攻防はむしろより激しくなり、鈍化はしていない。再燃するイラン情勢が原油を再び押し上げ(ブレントは安値から約20%上昇し85ドル近辺)、JPモルガンの言語分析モデルは2022年以来最もタカ派的な2週間のFRB発言を記録した。これはウォラー理事とローガン総裁の発言によるものだ。したがって現在のコンセンサスは、7月は据え置き、9月は生きた争点、そしてフォワードガイダンスの提供を止めたFRBのもとでは、今月中に発表予定のPCEインフレ統計を皮切りに、これから出てくるあらゆるデータが従来以上に重みを持つようになる、というものだ。ある司会者が述べた通り、我々は今、FRB議長ではなく2年債が語る時代に入ったのだ。